老後を“子ども頼みにする”危うさ
子どもと同居している家庭では、知らず知らずのうちに「子どもの収入」を家計の一部として組み込んでしまうケースが少なくありません。しかし本来、老後の生活費は自分たちの年金や資産で賄うことが基本です。子どもの支援がなければ生活できない状態では、すでに老後の生活設計は崩壊しているといえます。
もちろん、親子同居そのものが悪いわけではありません。経済的にも、生まれてくる孫の育児を助け合えるような関係であれば、それは一つの理想的な形でしょう。
ただし、「子どもが親を支える前提」で人生設計をしてしまうと、子どもの人生の可能性を親が閉じてしまうことにもつながり、それがしこりとなって、親子の関係にヒビが入る事態にもなりえます。
子どもには子どもの人生があります。結婚し、家庭を持ち、自分たちの生活を築こうとするのは自然なことです。親の都合で人生をコントロールしようとすること自体に、無理があるのではないでしょうか。
特に、今回のように40歳前後で子どもを持つ晩産家庭の場合は注意してください。子どもが独立するころには、自分たちも定年を迎える年齢に近づいています。つまり、教育費負担が終わってから老後資金を準備するまでの時間が極端に短いのです。こうしたケースでは、早くに子どもを授かった家庭よりもいっそう、現役時代からの入念な準備が不可欠です。
老後に必要なのは、「子どもが助けてくれるだろう」という根拠のない期待ではありません。自分たちの生活を自分たちだけで完結させられる計画なのです。
自立して送り出すことが、最後の親心
高齢化が進むなか、老後の孤立や家族関係の希薄化は、ますます深刻な問題になっています。内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、夫婦のみの世帯と単独世帯がそれぞれ約3割を占めています。高齢者のみ世帯の増加が指摘されており、家族との距離感は今後さらに重要なテーマになるでしょう。
子どもと良好な関係を築くことと、「生活を依存すること」は別問題です。親として本当に必要なのは、子どもを縛ることではなく、誰に頼らなくても暮らせる自立した背中をみせ、新しい家庭へと送り出すことではないでしょうか。
老後資金の不足は、いつしか言葉の端々に現れ、大切な人間関係さえも蝕んでいきます。現役時代から「年金だけでいくら不足するのか」「何歳まで働く必要があるのか」を事前に具体的に見える化し、準備しておくことが重要になります。それが、家族関係を守ることにもつながるのです。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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