残高減少に焦りも、70代から続出した「避けられない支出」
年間で考えると、生活費の赤字だけで200万円以上。そこに旅行代などが加わり、年間300万〜400万円単位で資産が減る年もありました。使った分減る。当たり前のことでした。
70歳の時点で、貯蓄は4,800万円まで減っていました。これに慌てた山岡さんは、旅行の回数を減らし、外食も以前ほど頻繁には行かなくなりました。そうすれば貯蓄の減少を食い止められる。そう思っていました。
ですが、70代に入ると、今度は“避けられない支出”が増えていったのです。
まず、高齢の母親が倒れ、介護が必要に。母親は施設入所を嫌がり「家で暮らしたい」と希望。妹が介護をメインで担う代わりに、実家のバリアフリー改修費や介護費用は山岡さんが負担する流れになりました。
「お兄ちゃんは余裕あるんだから。お願いね」
長年“頼れる兄”として振る舞ってきた以上、断りきれませんでした。実家の改修費だけで400万円近く。さらに、自宅マンションの修繕、給湯器の交換、医療費の増加など、数十万円単位の支出が次々と発生します。
追い打ちをかけたのは、息子夫婦への援助でした。
40代で息子が結婚し、子どもが生まれ、結婚祝いと住宅資金援助が合計800万円。さらに「孫のため」と、支出はかさんでいきました。
こうした支出が積み重なった結果、75歳になった現在、貯蓄が1,800万円まで減少していたのです。
老後資金に絶対の安心はない―いくらあるかより「どう使うか」
「母は、まだ存命。介護費がどれだけかかるかわかりません。孫の成長の節目には、これからもお祝いをしたい。自分たち夫婦だって、これからお金がかかるでしょう。そう考えると、やっぱり、使いすぎちゃったのかな」
夫婦でかけがえのない時間を持てたのは確かです。また、10年前、「7,000万円あれば老後は安心」と思っていました。ですが、物価も介護費も暮らしにかかるお金も、当時とは大きく変わっています。山岡さんはいま、「老後資金に絶対の安心はない」と実感しているといいます。
老後のお金は現役時代と違い、限られた収入しかなく、“減っても補充が追い付かない”という特徴があります。さらに70代以降は、介護、医療、住宅修繕など、「想定外ではないが、重たい支出」が次々と押し寄せます。
大事なのは、いくら持っているかではなく、先を見通してどう使うか。物価の上昇など、抗えない経済環境の変化もある時代です。資産が多いと安心する前に、長い老後に向けてしっかりとマネープランを立てることが欠かせません。
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