大学進学のため、多くの家庭が利用する奨学金。なかでもJASSO(日本学生支援機構)の貸与型奨学金は、今や学生の2人に1人以上が利用する“当たり前”の存在になっています。しかし、その返済は卒業後15年、20年と長期に及ぶことも珍しくありません。そして近年、表面化しつつあるのが、「誰が返すのか」をめぐる親子間の衝突。進学した本人が返すべきなのか、それとも十分な学費を用意できなかった親にも責任があるのか――事例とともに見ていきましょう。

返済は20年超になることも…奨学金という「大きな借金」

大学生の2人に1人以上が利用している、JASSO(日本学生支援機構)の奨学金。なかでも利用者が多い「第二種(貸与型)」は、卒業後に返済が必要です。

 

例えば、月10万円を4年間借りた場合、借入総額は約480万円。月2万円超の返済が20年間続く計算ですが、第二種の利率(令和8年度)は利率固定方式で年2.722%、利率見直し方式で年1.874%と、ここ数年で大きく上昇し、返済負担の増加が見込まれます(卒業時の利率が適用)。

 

「令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(JASSO)」によると、返還義務がある人のうち、3ヵ月以上返済を延滞しているのは約2.75%。およそ36人に1人が延滞している状況です。

 

返済が難しくなった場合には、「返還期限猶予」や「減額返還」といった制度を活用する方法があります。ただし、返済自体が亡くなるわけではなく、完済は後ろ倒しになるため、将来の結婚や住宅購入に影響が及ぶことも。

 

奨学金は学生本人が借りるものであり、返済も本人が行うのが原則です。しかし、連帯保証人を親とする人的保証(※)を選ぶケースも多く、子どもが返済できなくなれば、親に請求がくることになります。

※「人的保証」は親などが連帯保証人になる方式。本人が返せなくなると、親など保証人に請求がいく。一方、「機関保証」は保証料がかかるが、本人が返せなくなると、保証会社が立て替え、その後本人へ請求する。

 

つまり、子どもが返済するものだと考えていても、その借金が親に回ってくることがあり得るのです。中原さんも次男の連帯保証人になっており、もし返済が滞れば自分に請求が回ってくることになります。

 

奨学金は進学の大きな支えになる一方で、卒業後に長期間続く「借金」でもあります。そのため、「誰が・どう返済していくのか」を含め、借りる前に親子で十分に話し合っておかなければ、親子間でのトラブルに発展する可能性もあります。

 

「本人のための進学なのだから自分で返すべき」という親の思いと、「学生の自分には現実感がなかった」という子ども側の感覚。そのズレが、社会に出た後になって表面化するケースも少なくありません。

「65歳で辞めるわけにはいかなくなった」

「もちろん、十分なお金を用意してやれなかった申し訳なさはあります。でも、こっちも老後資金に余裕があるわけじゃない。正直、頭が痛いですよ……」

 

そう嘆く中原さん。結局、当面の間は返済を肩代わりすることにしました。

 

「猶予や減額の申請をしろと、強くいえなくて」

 

奨学金の残額はまだ400万円以上あり、もし次男が安定した仕事に戻れなければ、返済は長期化する可能性があります。さらに、生活が立ち行かなくなれば、実家に戻ってくることもあり得るでしょう。

 

「65歳で完全に仕事を辞めるつもりでしたけど、無理かもしれませんね。アルバイトを探さないと。最近は夫婦でそんな話ばかりです」

 

 

 

 

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