吉野家HD会長「わたしは褒められるのが嫌い」…それでも心を動かされた、部下からの「ありがとうメール」の内容

吉野家HD会長「わたしは褒められるのが嫌い」…それでも心を動かされた、部下からの「ありがとうメール」の内容
(※写真はイメージです/PIXTA)

「〇〇ハラスメント」という言葉が次々と生まれる令和のいま、部下を持つ管理職の方々は、部下とのコミュニケーションに悩む場面も多いのではないでしょうか。「叱る」よりも「褒める」ほうがいいことは理解していても、いざ褒めようとすると、どう伝えるのがよいか迷ってしまうことも……。大学を二度中退し、アルバイトとして吉野家HDに入社後、社長に上り詰めた河村泰貴氏は、「実は褒められるのがあまり好きではない」と語ります。著書『自分以外のすべてがわが師 高卒バイトが2000億円企業の社長になれたわけ』(日経BP)より、同氏がその理由と効き目のある「褒め方」について解説します。

「褒める」より「ありがとう」が効果的なシチュエーション

褒めることは大切、とは今や誰もがおっしゃることですね。皆さんも、さまざまな機会でそのようなことを聞いたことがあると思います。すでに述べたように、褒めるときは「具体的に」褒めることも大事ですね。

 

漠然と褒めるのではなくて、「〇〇さん、さっきお客様をお見送りするときの笑顔、素敵だったね」とか「〇〇君、前回一緒に働いたときよりおすすめが上手になったね」というような感じです。褒められて嫌な気持ちになる方はいらっしゃいませんものね。

 

チームやメンバーのモチベーションを維持向上させるうえでも、褒めることはとても大切であることは論をまたないと思います。

 

ただ、この「褒める」という行為、相手との関係性によっては少しアレンジが必要です。相手の方が自分のことを上位者として認めていない場合は、仕事に関する「褒め」はあまり効果がない。というよりも、素直に受け取ってもらえないことがあるのではないかと思うのです。

 

例えば、異動などによって店舗やエリアが変わったばかりのとき、まだお互いの関係性がそれほど深まっていないとき、年上や先輩の部下を持ったときなど、その方が(うわべだけではなく心から)わたしのことを上位者として認めていただけていない場合は、仕事に関する「褒め言葉」は効果が薄かったりします。

 

「褒め」も一つの「評価」なので、関係性ができる前に中途半端な「褒め」を使うと、「お前に何がわかるんだ」的な反発心を起こさせてしまう可能性もあります。

 

ではそんなときにはどうするか。「褒め」の代わりに「ありがとう」を使いましょう。「僕の休日に〇〇さんが〇〇をしてくれてうれしかったです。ありがとうございます」「〇〇さんがビシッと言ってくれて引き締まりました。ありがとうございます」などがその例。単に自分の感謝の気持ちを伝えるようにするのです。

 

これだと、相手を評価しているのではなく、単に自分の気持ちを伝えているだけなので、受け取ってもらいやすい。少なくとも、反発されるリスクは小さいです。

 

これ以外のケースでも、なんか照れくさいとか、急に「褒め」を使いこなすのが難しい、わざとらしく感じられてしまうんじゃないか、と感じたときなども同じく「ありがとう」を使うとよいでしょう。褒めることはコミュニケーションの質を良くしていくうえで、とても大切なことです。

 

仕事とは直接関係ないことで、相手が褒めてもらってうれしいと感じることを褒めることで、関係を良くしていく方法もあるのですが、ともすると「おべんちゃら」に聞こえてしまいます。そのため、使いこなすのはなかなか難しいので、自分の素直な感謝の気持ちを伝えることがよいと思います。

 

 

河村 泰貴

吉野家ホールディングス

会長

 

 

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※本連載は、河村泰貴氏の著書『自分以外のすべてがわが師 高卒バイトが2000億円企業の社長になれたわけ』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

自分以外のすべてがわが師 高卒バイトが2000億円企業の社長になれたわけ

自分以外のすべてがわが師 高卒バイトが2000億円企業の社長になれたわけ

河村 泰貴

日経BP

「頑張れば夢はかなうなんて嘘だ」。10代半ばで味わった挫折から、将来への希望を失い、大学を二度中退した「どうしようもない若者」だった著者。しかし、24歳で𠮷野家に正社員として入社してから急速に頭角を現し、38歳でうど…

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