日本社会を大きく変える「団塊の世代」のリタイア
先に現在のコインランドリーブームを支えてきたのが女性の社会進出だと述べました。コインランドリーが人間の日常生活を支える事業である以上、社会の変化は徐々にではありますが、確実にコインランドリーのあり方を変化させていきます。
そういう点からいうと、今日本社会を大きく変えようとしているものに高齢化があるといえます。もう2、3年もすると団塊の世代が完全にリタイアするといわれています。私などは、小学校に入ったときに最上級生が団塊の世代の最後尾だったくらいの年代ですから、何となくいつも団塊の世代の気配がし、いい意味でも悪い意味でも団塊の世代の通り過ぎた跡を、いつもついていくという感じでした。
ですからその団塊の世代がリタイアするといわれても、あまり現実味が感じられません。あの世代の人たちは今までもそうだったように、これからも自分たちの考えや権利を声高に主張しながら、エネルギッシュに生きていくのだろうと思います。
ちょっと話がそれましたが、とにかくこれからどんどん高齢者が増えていくことは確実です。そしてあれだけ元気だった団塊の世代も、精神的にはともかく肉体的には次第に衰えていきます。そうすると今まであたり前のようにやってきた日常生活が、あたり前のようには送れなくなります。これは仕方のないことでしょう。
高齢者にとって重労働な「家事」全般
さらに少子高齢化といわれるように、今迫ってきつつある超高齢化社会は少子化の裏返しでもあります。つまりさまざまな場面で高齢者を助けてくれる若い人たちの数が絶対的に足らなくなるのです。
今後どんどん増えていく要介護のお年寄りを誰が介護するのか、という問題もありますが、逆に、元気で動ける高齢者は、なるべく社会福祉に頼らず、自立した生活をすることが求められるようになるでしょう。動けなくなったら何とかするから、それまでは、自分のことはできるだけ自分でやって、ということです。
とはいえ、そうした比較的元気なお年寄りにとって日常生活を支える食事や掃除、洗濯といった家事は、けっこうな重労働です。最近では高齢者の多く住む団地などでは、NPOやボランティア団体が高齢者向けに食事をつくって提供する試みが行われているようです。これは高齢者がなるべく自立した生活を送れるよう「食事」の分野で支えていこうということです。
これと同じ発想が「洗濯」の分野でもできないか。それが私のアイディアです。