洗濯の待ち時間をどう快適に過ごしてもらうか?
ところで、コインランドリーを計画するとき、かならず出る話は、お客様に洗濯の待ち時間をどう快適に過ごしてもらうか、ということです。前回で触れたイートインのあるコンビニエンスストアとのコラボというアイディアも、こうした発想の延長にあるものといえましょう。
ところが、これまでのようにコインランドリーは無人が前提と考えると、面積の大小を問わず、コインランドリーの中にお客様にくつろいでもらうスペースを設けるのは難しいのです。コインランドリーは原則的にはクリーニング店と同じクリーニング業法によって規制されることは、すでに何度も述べました。
コインランドリーも開店する際には保健所に届け出るわけですが、そのなかで洗濯機や乾燥機を置く場所は工場扱いになるのです。クリーニング工場です。ですから、そこには乾いた洗濯ものを畳むために机以外のものを置くことはできません。もしお客様がくつろぐための椅子や机を置きたいなら、壁をつくって「クリーニング工場」と区別しなければならないのです。
有人化なら「くつろぎコーナー」も設置可能に
もちろん、これは厳密にいえばの話で、実際に大きな机と椅子を用意して、お客様が座って作業したり、待ち時間にくつろいだりできるようにしているコインランドリーはあります。しかし、これぐらいが限界で、お客様に飲食をさせるようになると問題になるだろうと思います。少なくともWEBや書籍で推奨するのはまずい。保健所に目をつけられることになるでしょう。
しかし、これもコインランドリーを有人化し、スタッフを置けば合法的に解決の方向をみつけることができます。スタッフに食品衛生責任者の資格をとらせ、コインランドリーに併設したくつろぎコーナーを飲食店や喫茶店として届け出ればいいのです。もちろん本格的な料理や喫茶メニューを出すというのは、本来の目的とは違ってきますから、ここではお勧めしません。
私がおもしろいなと思うのは、先にも触れた高速道路のサービスエリアにずらっとならんだ多種多様な自動販売機です。ラーメン、ハンバーガー、ホットドッグ、唐揚げ、おにぎりなど、さまざまなメニューが提供できる自動販売機が、なぜ普通の商店街などで見かけないかというと、それはこうした自動販売機を設置するには、飲食店としての届出と許可が必要だったからでした。飲食店には食品衛生責任者がいなければなりませんから、無人販売が最大のメリットである自動販売機の特長を活かせなくなってしまうわけです。高速道路のサービスエリアの場合は、そもそもラーメンやそばなどを提供する店舗とそのイートインコーナーがあるので、そこに自動販売機を設置しても何ら問題はおきない。そういうことなのだと思います。
この発想をそっくり有人のコインランドリーに取り込めば、洗濯ものが仕上がるまでの時間をくつろぎの時間に変えることで、お客様にも喜んでもらえるし、ひょっとしたら自動販売機のメーカーともコラボレーションができるかもしれません。
複数の店舗を出すなら、統一したデザインに
お客様にくつろいでいただくという意味では、店舗のデザインもやはり大切です。
これまでのコインランドリーは、とにかく殺風景で、デザイン性など、どこをさがしてもみつからないような店舗ばかりでした。これはオーナーの責任もあるとは思いますが、メーカーや代理店が店舗も含めたコインランドリーというパッケージを売るという姿勢が希薄で、洗濯機や乾燥機が売れればいいという姿勢が強すぎたこともあると思います。
最近は女性が入りやすいようにと店内がよく見えるように、全面ガラス張りのコインランドリーが増えたので、店内にならんだ洗濯機や乾燥機を見れば、ここが何のお店か誰にでもよくわかるようになりました。しかしちょっと前までは、パッとみただけでは何の店なのかわからないというコインランドリーをよく見かけました。店の外には幟が立ち並び、正面のガラスには張り紙だらけ。情報が多すぎて結局、お客様にはオーナーのいいたいことがまったく伝わらないというパターンです。
たとえばチェーン店として複数の店舗を出すなら、当然に統一したデザインにすべきですし、コインランドリーらしい清潔感を演出するには明るさも大切です。
弊社が今後展開していく予定の「ランドリエ」第1号店では、デザイナーと相談し清潔感と高級感をメインにあたたかみのある赤を基調としたデザインを打ちだしました。