「どちらが上か」という発想を手放す
絵里さんは静かに言います。
「私たちは対等だと思っていたのに、彼はそう思っていなかったんだなと。『私が下にいたほうがよかった』と思っていたのは、態度を見れば明らか。それがとてもショックでした」
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和7年)」では、女性の月額賃金(フルタイム)は28万5,900円。男性を100とした場合の女性賃金は76.6で、比較可能な1976年以降で最も格差が小さくなりました。また、女性の賃金上昇率は3.9%と男性の2.8%を上回っています。
こうしたデータからも、女性の賃金が上昇している事実がわかります。女性の管理職登用も進み、夫婦の収入逆転もいまや珍しいことではありません。
また、人生は長く、その間に働き方も健康状態も変わります。ある時期は夫が支え、別の時期は妻が支える。育児で一方がセーブする時期もあれば、介護で働けなくなることもあるでしょう。そのたびに優劣を競っていては、夫婦は消耗するだけです。
結婚時の力関係が、そのまま続く時代ではない。だからこそ必要なのは、「どちらが上か」という発想を手放すことです。
絵里さんは、いまだに悩み続けています。
「内心、小さい男だなとは思います(苦笑)。でも、子どもの父親として、いいところもいっぱいあるんです。私は元のように話せる関係に戻りたい。でも、そのために私が今のポジションを手放すのか? それも違うと思うんですよね……」
肩書きや年収が変わっても協力して歩んでいける――そんな2人でなければ、夫婦の関係は長続きはしないのかもしれません。
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