年金月23万円、貯蓄2,300万円の70代夫婦。子どもと孫に恵まれ、幸せな老後です。しかし、大型連休前には少し憂鬱な気持ちになってしまう――。それは、決して他人にはいえない本音だといいます。喜びだけでなく悩みが入り混じる、複雑な感情の理由とは?

年金生活に重くのしかかる「連休出費」…15万円は当たり前

もうひとつ、正子さんの悩みはお金でした。夫婦の年金は月約23万円。貯蓄は2,300万円ほどあり、普段の暮らしなら大きな不安はありません。

 

ただ、長期休暇の負担が大きすぎる。それが切実な悩みでした。食費は1日約2万円。5日もあれば10万円近くになります。おやつやジュース、増えた光熱費。帰り際には孫たちに小遣いを渡し、子どもたちに土産を持たせることもあります。

 

気づけば、1回の連休だけで15万円は使っています。本当はもっとかかるけれど、正子さんが特売をハシゴし、畑の野菜を使い、必死にやりくりして、その金額なのだといいます。

 

「年金1ヵ月分がなくなる感覚。かなり厳しいですよね」

 

正子さんは苦笑します。

 

「せっかく来てくれた以上は、ちゃんとしてあげたいと思ってしまうんです。子どもからは『ちょっと払おうか』と言われることもありますが、親が子にお金をもらうなんて……。それはしたくないし。悩ましいですね」

誰も悪くないからこそ、言えない

くふう生活者総合研究所が実施した2026年のゴールデンウィークの過ごし方では、「旅行・レジャーの予定がある」人は23.0%。予定している旅行・レジャーは「国内旅行」が49.7%、「中距離の日帰りのお出かけ」が27.5%、帰省が23.4%と続いています。

 

実家に帰省する側は、「親も喜んでいるから」という前提で戻るはずです。もちろん、それは間違いではありません。ただ、その喜びの中に悩みが少し混じっていてもおかしくはない。人間は多面体で、たとえ親子でも本音をいえないことは少なくないからです。

 

「もう静かに過ごしたいなと思うこともあります。実際、『受験で今回は行けない』なんて連絡が来て、一家族が減ってホッとしたこともありますし」

 

そう漏らしたあと、正子さんはすぐに笑って続けました。

 

「でも、来なかったら寂しいんですよ。孫が来てくれるのも、期限付きですからね。夫も“あと数年だから、出来る限りやってあげよう”といっていますから」

 

にぎやかさと引き換えに減っていく体力とお金。誰も悪くないからこそ、こうした負担は見えにくいものです。

 

孫に囲まれる老後は、たしかに幸せな光景でしょう。けれど、その裏で静かに疲れている人も、きっと少なくないのかもしれません。

 

 

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