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トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実
奥村眞吾(著)+ゴールドオンライン(編集)
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地震と海面上昇の二重苦!バヌアツを襲う“水没リスク”と経済の苦境
日本の南に位置する太平洋には、約15の島しょ・諸島が点在しています。透き通った海に囲まれたリゾート地としても人気のある地域です。しかし近年、これらの国々は共通して地球温暖化による海面上昇の危機に直面しています。
また姉妹書である【カリブ海・欧州編】でも紹介しますが、カリブ海には税制上の優遇措置が受けられるタックスヘイブンが多く存在し、その代表例としてバハマやケイマン諸島が挙げられます。
太平洋島しょ・諸島の地域区分
日本の南の太平洋には、小さな島々が広がっています。これらの地域は、【図表1】の3つのグループに分類されます。
このうち、アメリカ属領であるマリアナ諸島(グアム、サイパンなど)とニュージーランドを除くと、ミクロネシア地域は5カ国、ポリネシア地域は5カ国、メラネシア地域は4カ国+フランス領特別共同体となっています。一部を除き、これらの国々に共通する最大の関心事は、地球温暖化による海面上昇の影響です。
海面上昇で最も危険な国「ツバル」
ポリネシア地域にあるツバルは人口約9800人(2023年現在)です。1978年にイギリスから独立しました。現在、地球温暖化による海面上昇の影響を最も受けやすい国の1つであり、日本も援助を行っています。
ツバルの税制は、法人税率30%、売上税30%などとなっており、タックスヘイブンには該当しません。
ある意味タックスヘイブンである「ソロモン諸島」
ソロモン諸島はメラネシア地域に属し、バヌアツに近い位置にあります。面積は岩手県の約2倍、人口は約80万人(2023年現在)です。
税制については以下のようになっています。
●居住法人の法人税率 30%
●非居住法人の法人税率 35%
●キャピタルゲイン課税 なし
●個人所得税の最高税率 40%
国外源泉所得に対する課税が軽く、資本流入を誘う制度設計になっていることから、「準タックスヘイブン」ともいえる存在です。近年、中国がソロモン諸島に接近し、2022年4月には安全保障協定を締結しました。
タックスヘイブンの機能を持つ「バヌアツ」
バヌアツの正式名称は「バヌアツ共和国」です。南太平洋のシェパード諸島に位置する火山島の共和制国家で、面積は新潟県とほぼ同じ、人口は約32万人(2023年現在)。1980年にイギリスから独立し、現在はイギリス連邦加盟国の一員です。この国もツバル同様に海面上昇の危険にさらされています。
さらに、2024年12月18日にはマグニチュード7.0の地震に見舞われ、大きな被害を受けました。これにより、地震と海面上昇という二重の脅威に直面することとなりました。
バヌアツの税制は以下の通りです。
●付加価値税 12.5%
●所得税 なし
●法人税 なし
また、バヌアツは税務執行共助条約※1を締結し、金融口座情報自動交換報告制度(AEOI※2)にも参加しています。オフショア銀行※3が7行あり、タックスヘイブンとしての機能も持っています。
※1 税務執行共助条約:各国間で税務に関する情報を共有・協力し、脱税や租税回避に対抗するための国際的な枠組み。OECDと欧州評議会によって共同で策定され、1988年に採択された。
※2 AEOI:各国の税務当局が非居住者の金融口座情報を自動的に交換する制度。租税回避や資産隠しの防止を目的としており、OECDが策定した共通報告基準に基づいて運用。
※3 オフショア銀行:法人や個人が本国以外の国や地域に設立した銀行または銀行口座のこと。主に非居住者向けに設立される銀行で、税制優遇や金融秘密保持が目的とされる。
かつて、イギリスの法律によって企業の財務内容を公表しなくてもよかったため、エリクソンやゼネラルモーターズが金融会社を設立していました。
現在もタックスヘイブンとされていますが、税務執行共助条約やAEOIに参加しているため、以前ほどの秘密保護は期待できない状況にあります。
※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。
矢内 一好
国際課税研究所 首席研究員
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