老後を謳歌しようと思った矢先、義母が…
しかし、待っていた老後は、思いもよらぬものでした。
夫の退職から間もなく、92歳の義母が自宅近くで転倒し、大腿骨を骨折。そのまま要介護状態となり、生活は一変しました。施設入所も検討したものの、本人の強い拒否で自宅介護を余儀なくされました。
そこから、美佐子さんの日常は一変しました。食事を作り、排泄や入浴の補助をし、洗濯機を何度も回し、常に「美佐子さん、ちょっと来て」という呼び出しに対応する生活。
「気づいたら、一日が全部、介護と家事で終わっている感じです」
夫婦で旅行の夢は散り、外出も最小限。義母は存命のまま、気がつけば3年が過ぎてしまったといいます。
「お金はあるのに使えない」という現実
美佐子さんはいまだ十分な貯蓄を持っています。介護費は義母自身の貯金で賄い、夫婦の年金収入も夫婦で月25万円以上。
しかし、自由に使える時間も気力もありません。
「お金はあるのに、どこにも行けないんです」
かつて想像していた豊かな老後とは違い、日々の介護と家事に追われる生活。ふとした瞬間に、こんな思いがよぎるといいます。
「ああ、使っておけばよかったって、本当にそう思います。不安ばっかりで貯めることに執着していたけれど、結局使うことができないなんて。夫にも子どもにも、もっと良い思い出を作ってあげられたのに」

