「お金の減り方が…」見えてきた現実
将来の費用シミュレーションを見ると、不安は決定的なものになりました。施設の担当者から、平均的な入居期間や介護度の変化に応じた費用の目安を提示されたといいます。
「80代後半まで生きた場合の試算を見て、“あれ、思ったより余裕がないな”と感じました」
もともと「十分にある」と思っていた9,000万円という資産も、入居一時金と毎月の支出を差し引いていくと、長期的には安心できる水準とは言い切れなかったのです。
総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢夫婦のみの無職世帯の消費支出は月約26.4万円とされています。施設入居の場合はこれに加えて利用料がかかるため、支出はさらに大きくなります。
「自宅で暮らしていたときとは、お金の減り方がまったく違いました」
その後、夫婦は生活の見直しを始めました。オプションサービスを減らし、外出の頻度も抑えるようにしたといいます。
「でも、それだと“何のためにここに来たんだろう”という気持ちにもなってしまうんです」
高級老人ホームは、安心や快適さを提供する一方で、それに見合った費用が継続的に発生します。入居時の資産だけでなく、「どのくらいの期間、どの水準で暮らすのか」という視点が欠かせません。
「もう少し慎重に考えるべきだったと思います」と康夫さんは振り返ります。
「資産があるから大丈夫、ではなくて、その使い方まで含めて考えないといけなかった」
現在も夫婦は同じ施設で暮らしていますが、「このままでいいのか」という思いは消えていないといいます。
老後の住まいは、安心のための選択であると同時に、長期的な家計の判断でもあります。山本さん夫婦は、備えがあってもなお、見えにくい支出と向き合うことになりました。
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