貴重で有限な「時間」を自分にとって大切なことに使いたい
でも、改めて質問させてください。そもそもなぜ、あなたは時間に追われる人生を変えたいのですか。
「生産性を上げて会社の業績を伸ばさなければならないから」「効率的に成果を出して昇進したいから」……さまざまな理由があるでしょう。しかし、突き詰めれば、こう言い換えられるのではないでしょうか。
仕事で生産性を上げる目的を、業績向上や自身のキャリアアップに見いだす人もいるでしょう。一方で、パートナー、子ども、友人など、あなたにとって大切な人たちともっと時間を過ごしたい。自分の趣味やサードプレイスの活動にもっと時間を使いたい。そう思っている人も多いのではないでしょうか。
私たちに与えられた最も貴重で有限なリソースである「時間」。それを、自分にとって最も大切なことに使うことができたら、あなたの人生はより豊かなものになるはずです。自分の時間の使い道を、自分で決める。それはつまり「人生の主導権を取り戻す」ことに、ほかなりません。
「出世することが正しい」と信じて疑わなかったサラリーマン時代
実は私自身、以前はずっと時間に追われて、一体なんのために生きているのか分からない時期を過ごしていました。
私は現在サンフランシスコ郊外在住で、エグゼクティブコーチとして、コーチングスクール運営などの事業を手がけています。学生時代は大阪大学の人間科学部で心理学や行動学を学び、米国の大学院への留学を経て金融業界へ。気がつけば20年以上、米国の金融コンサルティング会社やメガバンクで管理職としてキャリアを積んでいました。
米国の金融機関で働いていた頃は、「出世街道を進むことが正しい」と信じて疑わず、ひたすら目の前の仕事に打ち込んでいました。米国人のエリート層が同じ時間で格段に質の高い成果を出すことに愕然とし、本を読んだり講座を受けたりと、生産性を上げる方法を模索した結果、競争の激しい米金融業界で、外国人で英語がネイティブではない私でも、ヴァイスプレジデント(幹部職)という責任のあるポジションにつくことができました。
しかし、子どもが生まれたことをきっかけに、「本当にこのままでいいのだろうか」と自問自答するようになったのです。仕事に費やす時間、仕事に対する価値観、意識の向け方……。それらが、本当に自分が望む人生と少しずつズレ始めていることに気づきました。
同じように悩む人に向けたコーチングを副業として始めたのは、その頃です。さらに追い打ちをかけたのがコロナ禍でした。ちょうど私は、米国で金融系テクノロジー(フィンテック)のスタートアップ企業に転職したばかりで、2週間に1回のペースで新しいソフトウェアをリリースするという激務の生活でした。そこへコロナ禍が訪れ、金融業界全体が混乱するなか、私は3人の子どもたちのオンライン授業をサポートしながら副業も行うという、まさに時間との戦いを強いられたのです。

