「一人で大丈夫」の限界…見えていなかった生活の綻び
厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査』では、65歳以上の単独世帯が全体の31.8%を占めており、高齢期に一人で暮らすことは一般的になっています。一方で、東京消防庁『救急搬送データからみる高齢者の事故』でも、高齢者の救急搬送は自宅など「住居等居住場所」からの発生が最も多く、生活の場で急変が起きやすい現実が示されています。
圭子さん自身も、こう話したといいます。
「できると思っていたのよ。でも、前みたいにはいかなくなっていたのね」
卓さんは悩みました。すぐに同居すべきか、それとも別の支援を考えるべきか。
最終的に選んだのは、「一人暮らしを前提とした支援の強化」でした。具体的には、見守りサービスの導入、食事の宅配、定期的な訪問介護の検討、そして緊急通報装置の設置です。
「完全に生活を変えるのではなく、“リスクを減らす形”を選びました」
圭子さんも、最初は抵抗を示したものの、今回の出来事を受けて徐々に受け入れ始めたといいます。
「迷惑をかけたくないと思っていたけど、一人で全部やろうとするのも違うのかもしれないね」
卓さんは、あの夜のことを何度も思い返すといいます。
「電話に出ていなかったら、どうなっていたか分からない。そう考えると、今でも怖くなります」
高齢者の一人暮らしは、自立を尊重できる一方で、見えにくいリスクを抱えています。
「異常が起きてから気づくのでは遅いこともある。今回のことは、そのギリギリのラインだったと思います」
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