バブル期の物件を「50万円」という破格の価格で入手
「ようやく春が来た。また冬が来るのが憂鬱ですよ」
そう話すのは、関東近郊から越後の山あいへ移り住んだ松原隆一さん(仮名・71歳)。その言葉には、どこか疲れがにじんでいます。
松原さんは長年メーカー勤務をしてきた元会社員。65歳で仕事を退き、独り身のまま老後を迎えました。
年金は月およそ11万円。退職金を含めた金融資産は約900万円。困窮しているわけではないものの、「このまま月7万円の家賃を払い続けていくのか」という不安は常につきまとっていました。
そんな折、インターネットで偶然見つけたのが、苗場エリアにある中古のリゾートマンション。当時、価格はわずか50万円でした。
「正直、目を疑いましたよ。こんな金額で家が買えるのかと」
築年数は古く、バブル期に建てられた大型物件。若い頃にスキーに親しんでいた松原さんにとっては、どこか懐かしさを感じる環境でもありました。
「管理費と修繕積立金を合わせても、年間で20万円台。これなら賃貸よりずっと安く済むと思ったんです」
多少の不便さは覚悟のうえでした。実際、移住してしばらくは穏やかな日々が続きました。春から秋にかけては気候もやわらかく、周囲は自然に囲まれ、空気も澄んでいる。週に数回、近くの施設で軽作業のアルバイトも見つかりました。
「思い切って引っ越してよかったと思いました」
その考えが一変したのは、最初の冬を迎えたときでした。
