(※写真はイメージです/PIXTA)

ホルムズ海峡の通航をめぐる緊張や、南鳥島沖のレアアース開発が相次いで注目を集めています。これらに共通するのは、海洋に関する権利をめぐる国家間の利害対立です。本稿では、2026年3月に『世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国際編】』を刊行した矢内一好氏が、ニュースでは十分に説明されない海洋法の基本用語を整理しながら、現在の国際情勢を読み解きます。

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注目される2つの海洋問題

最近、海洋に関する2つの出来事が注目されています。

 

1つは、イランが石油輸送の要衝であるホルムズ海峡に関し、強い統制権限を主張している問題です。

 

もう1つは、小笠原諸島・南鳥島(東京都)沖におけるレアアース(希土類)開発計画が進展している点です。

 

いずれも、海洋における「どの国が、どの範囲で権利を持つのか」という問題に直結しています。

海洋の法的秩序とは何か

海洋をめぐる国際秩序は、国家間の利害対立を調整するために形成されてきました。
その中心となるのが、海洋に関する包括的な国際ルールです。

 

たとえば、北朝鮮のミサイルが「日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した」と報じられることがありますが、EEZと領海の違いは十分に説明されないことが少なくありません。

海洋に関する基本用語

そこで、まずは基本用語を整理します。

① 国連海洋法条約

「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」は、海洋に関する基本ルールを定めた国際条約です。2026年2月時点で171ヵ国およびEUが締結しています。

 

日本は1983年に署名し、1996年に発効しています。一方で、米国、トルコ、イランなどは未締結です。

 

② 領海

領海とは、沿岸国が主権を及ぼす海域であり、基線から最大12海里まで設定することができます。

 

南鳥島は日本の領土であるため、その周辺の領海における資源については、日本が主権を有します。

 

③ EEZ(排他的経済水域)

EEZは、領海の外側に設定される海域で、基線から最大200海里まで認められています。

 

沿岸国は、この海域において
・天然資源の探査・開発
・漁業資源の管理
などに関する主権的権利を持ちます。

 

ただし、航行の自由などは維持され、領海とは異なる点に注意が必要です。

 

④ 大陸棚

大陸棚とは、沿岸国の陸地の自然延長とされる海底部分を指します。

 

原則として200海里まで認められますが、地形的条件によってはそれを超えて延長される場合もあります。

 

沿岸国は、この海底に存在する鉱物資源などの探査・開発について排他的権利を有します。

国際海峡とホルムズ海峡問題

国際海峡とは、公海やEEZを結ぶ海域であり、国際航行にとって重要な水路です。

 

このような海峡では、すべての船舶および航空機に「通過通航権」が認められています。
日本のエネルギー輸送に不可欠なマラッカ海峡が代表例です。

 

ホルムズ海峡も国際海峡に該当すると解されており、特定の国家が通航を一方的に制限することは、国際的なルールとの整合性が問題となります。

 

もっとも、イランは国連海洋法条約の締約国ではないため、同条約上の義務に拘束されないという立場を取っている点には留意が必要です。

海洋資源の採掘と課税権

海洋資源の採掘に関する課税権は、その海域の法的性質によって異なります。

 

たとえば、大陸棚において採掘された資源については、その大陸棚に権利を有する沿岸国が課税権を持つことになります。

 

一方、公海上での採掘については、一般にその事業者の属する国(旗国など)が課税権を行使することになります。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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