【富裕層課税強化】基準所得金額⇒1億6,500万円超に引き下げ、課税額⇒30%に引き上げへ…事業承継を焦る経営者たちの厳しい実情

【富裕層課税強化】基準所得金額⇒1億6,500万円超に引き下げ、課税額⇒30%に引き上げへ…事業承継を焦る経営者たちの厳しい実情
(※写真はイメージです/PIXTA)

個人の基準所得金額が一定水準を超える場合に、通常の所得税額を上回る差額分の税負担を求める「ミニマムタックス(特定の基準所得金額の課税の特例)」だが、2026年度税制改正大綱では、現行の基準所得金額の引き下げと、税率の引き上げが示された。つまり、課税が一気に強化される格好だ。果たして経営者たちは、どの程度この実情を把握しているのか。また、事業承継への影響はどれほどなのか。公認会計士でオーナーズ株式会社・代表取締役社長の作田隆吉氏が解説する。

想定しているクロージング時期に間に合うのか

現在の準備状況で「間に合う」との回答が過半を占めるも、一定数が不確実性を抱える

 

現在の準備状況で、想定しているクロージング時期に間に合うと感じているかを尋ねたところ、「十分間に合う」が17.1%、「ある程度間に合う」が37.8%で、合わせて過半数を占めた一方で、「やや厳しい」と「かなり厳しい」が合わせて27.0%、「わからない」が18.0%との結果に。45.0%が想定クロージングに懸念を抱いている実態が浮き彫りになった。

 

公認会計士の視点とアドバイス

今回の調査結果から、経営者が課税強化に十分な理解をしているとはいえない状況が浮き彫りとなった。とはいえ、一定の理解があるオーナーは売却時期を早めるなどの対応を進めているケースも多く、税制改正がオーナーの意思決定に影響を及ぼしている状況が見て取れる。

 

急ピッチでの売却検討に不安を感じている様子もうかがえたが、事業承継M&Aを進めるにあたり、省略してはならない重要なプロセスがあることも確認しておきたい。

 

デューデリジェンス(DD)の実施や契約交渉は、その最たる例として挙げられる。特に、①DDプロセスにおいて買い手に対して適切に情報開示を行うこと、②その情報開示を踏まえ、売り手の責任範囲を限定するための契約交渉を徹底することは、売り手を予期せぬトラブルから守るうえで極めて重要となる。

 

また、今回の税制改正では、会社分割などの取引手法(スキーム)を活用し、税負担を軽減する対策の重要性も一層高まっていくといえるだろう。

 

調査概要

調査名称:富裕層課税強化(ミニマムタックス見直し)が事業承継M&Aの意思決定に与える影響に関する調査
調査機関:Fastask
調査対象:今後5年以内に事業承継を検討している中小企業オーナー
調査方法:Webアンケート
調査期間:2026年2月27日〜3月3日
有効回答数:111
※各回答項目の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合がある。

 

 

作田 隆吉
オーナーズ株式会社 代表取締役社長

 

 

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