上位3制度で約7.5兆円…法人税優遇の集中が浮き彫り
今回の調査では、法人税関係の租税特別措置の上位10制度の適用額と件数が明らかになった。上位3制度だけで約7.5兆円に達しており、法人税関係の租税特別措置の中でも大きな割合を占めていることが分かった。法人税優遇が一部の制度に集中している構図が改めて浮き彫りとなった[図表]。
最大は中小企業の軽減税率――111万社が利用
令和6年度の法人税関係の租税特別措置のなかで最も適用額が大きかったのは「中小企業者等の法人税率の特例」。年800万円以下の所得に対して本来の法人税率23.2%ではなく15%の軽減税率を適用する制度で、適用額は4兆7,129億円、適用件数は111万966件にのぼった。多くの中小企業が利用しており、件数ベースでも突出している。
2位は「特定株式投資信託の収益の分配に係る受取配当等の益金不算入の特例」で、適用額は1兆4,609億円、適用件数は6,828件だった。
3位は「特定目的会社に係る課税の特例」で、適用額は1兆1,799億円、適用件数は691件となっている。
4位には研究開発税制(試験研究費の特別控除)が入り、適用額は1兆69億円、適用件数は1万8,412件だった。企業の研究開発投資を促す制度であり、適用額は初めて1兆円の大台に達した。
5位は賃上げ促進税制で、適用額は9,560億円、適用件数は29万4,287件となった。前年度の7,278億円から大きく増加しており、企業の賃上げを促す政策の影響が表れた形となっている。
6位は「特定目的会社に係る課税の特例」で適用額8,746億円、適用件数242件。7位は「保険会社の受取配当等の益金不算入の特例」で7,585億円、適用件数は39件と極めて少ない。8位は「特定の資産の買換えの場合等の課税の特例」で5,784億円、適用件数1,105件。9位は「特定経営力向上設備等の特別償却」で4,792億円、適用件数1万2,891件。10位は「少額減価償却資産の損金算入の特例」で3,847億円、適用件数は66万9,306件となっている。
租税特別措置の「3つのタイプ」
今回の調査結果から、租税特別措置には制度ごとに性格の違いがあることも改めて確認された。
中小企業の法人税軽減税率や少額減価償却資産の特例は、多くの中小企業が利用する制度であり、幅広い企業に恩恵が及ぶ。
一方で、特定株式投資信託や特定目的会社、保険会社に関する制度は適用件数が少ないものの、1件あたりの減税額が非常に大きく、少数の企業や金融スキームに恩恵が集中する特徴がある。
また、研究開発税制や賃上げ促進税制のように、企業の投資や賃上げといった行動を後押しする政策誘導型の制度も存在する。今回の調査では研究開発税制が初めて1兆円規模となり、賃上げ促進税制も大きく拡大しており、政府の政策目的が租税措置を通じて企業活動に影響を与えていることがうかがえる。
租特見直しの議論も続く
租税特別措置については課題も指摘されている。制度が長期間存続することで既得権益化する可能性があるほか、減税が実際に投資や賃上げにつながったかどうかを検証することが難しいという問題もある。また、大規模な減税が特定の企業や業種に集中する傾向がある点も指摘されている。
こうした状況を踏まえ、政府税制調査会などでは租税特別措置の見直しについても議論が続いている。期限を設けた制度の廃止や、政策効果の高い分野への重点化などを検討する動きもあり、今後の税制改正に向けて制度の整理や再設計が課題となっている。
租税特別措置は企業活動を支える重要な政策手段である一方、その規模や効果については常に検証が求められる。今回の調査は、法人税減税の実態と制度の偏りを示す資料として、今後の税制議論においても重要な材料となりそうだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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