増加する早期退職と、求められる資産形成
Tさんのように、働くことを辞めて完全リタイア生活に入るためには、十分な資金の裏付けが必要です。
近年では、定年を待たずしてリタイアを決断する人も増えています。東京商工リサーチの調査によると、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は2025年には1万7,875人に達しました。特筆すべきは、募集企業の約7割が業績良好な「黒字」である点です。これらの企業は多額の割増退職金を用意して人員の適正化を図り、承諾する社員側はまとまった資金を元手に早めのリタイアを選択する狙いが見て取れます。
しかし、誰もが悠々自適な老後を送れるわけではありません。金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によれば、単身世帯における金融資産保有額の平均額は919万円にとどまります。
Tさんのように、8,000万円もの資産を築き上げているケースは限られた層です。退職金という一時金だけでなく、現役時代からの計画的な資産形成が、老後の選択肢を大きく広げる鍵となります。
[参考資料]
東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
