(※写真はイメージです/PIXTA)

60歳の定年を機に再雇用を断り、完全リタイアを果たした独身のTさん。手元には、長年の運用で築き上げた8,000万円の金融資産があります。本来なら65歳から受け取る年金をあえて繰り上げ受給し、減額も意に介さない余裕の生活。「通帳残高ゼロで人生の幕引きができたら最高」と語り、悠々自適な老後を謳歌する60代男性の事例を紹介します。

独身・賃貸暮らし・60歳で会社員を完全卒業

「毎日が日曜日かと思いきや、やりたいことが多すぎて時間が足りないくらいです」

 

Tさん(60歳)は、都内の賃貸マンションで気ままな一人暮らしをしています。大学卒業後から勤めた中堅メーカーを60歳で定年退職し、会社が用意した再雇用制度はきっぱりと断りました。同僚は給与が下がっても会社に残る道を選ぶなか、Tさんの決断に迷いはありませんでした。

 

「かつての取引先や仕事仲間から『少しうちで手伝ってくれないか』と声をかけられることもあります。ありがたい話ですが、すべて丁重にお断りしています」

 

現在のTさんの生活は、まさに自由気ままです。季節ごとに国内の温泉地や名所へ数日間の旅行に出かけ、普段の平日は打ちっぱなしで汗を流します。夜は友人とお酒を楽しみ、現役時代よりも充実した時間を過ごしています。

 

「満員電車で通勤して、理不尽なクレームに頭を下げるような社畜生活には二度と戻りたくないです」

 

誰にも縛られない自由な生活を手に入れたTさんの表情は、現役時代よりもずっと若々しく見えます。

早期リタイアを支える「金融資産8,000万円」と「年金の繰り上げ受給」

Tさんが再雇用をあっさりと断ることができた余裕の源泉は、長年コツコツと育ててきた金融資産にあります。

 

現役時代からの貯蓄と退職金を合わせ、現在手元にある金融資産は約8,000万円。その大部分は、30代から毎月欠かさず継続して運用に回してきたものです。

 

「ここ数年は相場が不安定で、大した運用益は出ていません。でも、過去にもこういう時期は何度もありましたから、まったく気にしていません」

 

毎月の生活費として一定額を取り崩していても、長年の複利効果もあり、資産全体で見れば減るどころか少しずつ増えている状態だといいます。資金的な不安が一切ないTさんは、本来65歳から受給できる年金を、60歳から繰り上げ受給する選択をしました。

 

「窓口で『繰り上げ受給をすると、一生涯にわたって24%もカットされますよ』と念を押されました。でも、それでいいんです」

 

月に受け取れる年金額は約11万円に減ってしまうものの、日々の遊び代の足しになれば十分だといいます。年金が減額されるデメリットよりも、元気で動ける「今」を最大限に楽しむというメリットを優先したTさん。

 

「身軽な独身なので、誰かに財産を残す義理もありません。最終的には家財道具もスッキリ処分して、通帳の残高がゼロになるのと同時に人生の幕引きができたら最高ですね」

 

老後資金の不安に苛まれるシニアが多いなか、強固な経済基盤を持つTさんは、残された自分の時間を純粋に楽しむことに注力しています。

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