援助の大小で伝わってしまう「メッセージ」
隆一さんにとって、その支援は孫の将来を思ってのことでした。しかし特定の孫にだけ大きな金額を援助したことで、結果的に家族の間に複雑な感情を生んでしまいました。
金額の大小は、時にメッセージになります。
「お前が一番大事だ」
「お前はそうではない」
口にしなくても、そう受け取られることがあるのです。
また、支援を受けた側が、常に感謝し続けるとは限りません。過度な援助は「ありがたい」から「当然」に変わり、期待が重なれば「負担」になることもあります。一方で、差を感じた側の記憶は、想像以上に長く残るものです。
家族関係を守るためのお金の考え方
孫の教育費を支援すること自体は決して悪いことではありません。しかし重要なのは「金額」よりも「バランス」です。
・特定の孫だけに集中させない
・支援の理由を家族全体で共有する
・期待を押し付けない
・将来の介護や相続まで含めて話し合う
これらを怠ると、善意のつもりだった援助が、家族関係の崩壊につながることもあります。老後の安心は、預金残高だけで決まるものではありません。「誰がそばにいてくれるのか」。その関係性が、晩年の生活の質を左右することもあります。
お金はあとから調整できますが、傷ついた感情の修復には時間がかかります。「全部あげる」という言葉の前に、「どのような関係を築きたいか」を考えること。それが、将来後悔しないための、最も大切な備えかもしれません。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

