誰も会いに来ません…設備の整った介護施設で1人、家族の名前がない面会名簿を眺める孤独。〈資産2億円〉76歳祖父「悪意なき孫差別」の果て【CFPの助言】

誰も会いに来ません…設備の整った介護施設で1人、家族の名前がない面会名簿を眺める孤独。〈資産2億円〉76歳祖父「悪意なき孫差別」の果て【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「お前に全部あげるから」――そう言って特定の孫に多額の教育資金を援助してきた祖父。しかし晩年、思い描いていた家族の姿とは違う現実に直面するケースがあります。善意や愛情のつもりだった支援が、ほかの孫との“孫差別”と受け取られ、いつの間にか家族の間に溝を生んでしまった……。そんな事例とともに、こうした問題が起きる背景や注意点、家族とお金の向き合い方についてトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が解説します。

優遇した孫の「まさかの変化」

翔太くんは中学・高校も私立へ進学。学費は教育資金口座から支払われ、大学進学時にも入学金と前期授業料の一部が充てられました。経済的な不安は一切なく、環境は恵まれています。しかしその一方で、隆一さんは折に触れてこう言いました。

 

「いずれは不動産の管理を手伝ってくれ」
「じいちゃんの老後は頼むぞ」

 

期待の言葉でしたが、翔太くんにとっては重荷です。自分の将来を自由に選べず「応えなければならない」という圧力が強くなっていきました。そして、大学進学で県外に出ると、翔太くんはほとんど帰省しなくなりました。

孫差別の結果…介護施設での現実

翔太くんが大学に入って1年ほど経った頃、隆一さんにとって大きな事件が起きました。心不全を起こして入院し、要介護3の認定を受けたのです。

 

妻は早くに他界しており、自宅での生活は難しい状況のため、入居一時金400万円、月額22万円の介護付き有料老人ホームに入居することに。貯蓄があるため支払いに困ることはありません。個室で、食事も整い、医療連携も万全です。

 

しかし、想定外だったのは“家族の距離”でした。翔太くんは「授業が忙しい」と、顔を出したのは1回きりです。

 

長男夫婦は月に一度ほど訪れていましたが、隆一さんが会うたびに「翔太は将来どうするんだ」「家のことも考えろ」と強く言ったことで、次第に間隔は空いていきました。

 

次男・長女一家にいたっては、一度も訪れることがありません。長年積み重なった差は「孫差別」と受け取られ、確実に心の距離を広げていました。そして、隆一さんは冒頭のような“孤独”の中にいます。

 

それでも「大学を卒業したら、きっと翔太は戻ってくるはず――」。隆一さんにとって、それだけが心の支えだと言います。

 

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