【大前提】株価は時として暴落するもの
3月9日には株価が大きく下がりました。これを暴落と呼ぶ人もいるようです。そのような状況下、投資家の中には狼狽して投げ売りしようとしている人もいるでしょう。しかし、まずは深呼吸して落ち着きましょう。そして、過去数十年の平均株価のグラフをじっくり眺めてみましょう。過去に何度も株価が暴落し、そのたびに戻っていることがわかるでしょう。
平均株価には、ひとたび暴落を始めると暴落を加速するメカニズムが働きます。それによって、株価が「あるべき水準」より大幅に低くなる場合も多いので、そうした時に売ってしまわないように気をつけよう、ということです。あるべき水準を大幅に下回った株価は、いつかは戻るはずですから。
株価が一定以上に下落すると、借金で株を買っている人が銀行から返済要請を受けるので、「売りたくない売りの注文」を出さざるを得ません。機関投資家の多くは担当者に「損切りルール」を課しているので、一定以上の損が出た担当者は持っている株を全部売って休暇をとって頭を冷やすことになります。投機家たちは「下がったら買い戻そう」と考えて売り注文を出します。最後に投資初心者が狼狽売りを出すと、値下がりは止まります。もう売る人が残っていないからです。あとは、投機家が買い戻したり、機関投資家の担当者が休暇から戻って買い注文を出したりして、株価が戻り始めるのです。
【今次局面の特殊性】世界経済の大混乱で、また暴落があるかも
以上は一般論ですが、今次局面は通常の暴落時とは若干事情が異なり、米国とイランの全面戦争によって世界経済は大混乱し、株価は暴落を続けるかもしれません。「株価のあるべき水準」自体が大きく下がるかもしれないのです。したがって、筆者としても「売るな」というつもりはありません。筆者が言っているのは「狼狽売りをするな」です。
「もしかすると本当に世界恐慌が来るかもしれない」といった雰囲気も見え始めていますので、冷静に検討した上で本当に世界恐慌が心配ならば、売ればよいでしょう。問題は、冷静に判断して得られた結論か否か、ということです。
筆者を含めた一般投資家にとって、ホルムズ海峡の封鎖が続くのか否か、続いた場合に何が起きるのか、予想するのは困難です。封鎖が長期化して世界恐慌に至る可能性も皆無ではないでしょう。もっとも、封鎖が長期化すれば別の輸送ルートが充実する(新しいパイプラインが建設される等々)ことで、量の問題は解決されるかもしれません。パイプラインの建設コスト分は原油高要因となりますが、その程度であれば数年後には株価は戻っているかもしれません。あとは、確率をどう考えるかです。
判断ミスに要注意
予想できないことを予想するのですから、結果が当たるか否かは運次第でしょうが、できるだけの努力はしましょう。その際に気を付けるべきことは、ミスをしないことです。
●数字の判断ミスに注意…「下げ幅」ではなく「下落率」に注目すべし
おそらく、今次局面で多かったミスは、3月9日の「日経平均が3,000円下がった」という数字の捉え方でしょう。15年前まで日経平均は8,000円程度だったので、1日で400円下がれば大きなニュースでした。その感覚が残っている時に3,000円という数字を見ると、大暴落であるように感じるのでしょうが、下落率でいえば5%強であり、日経平均8,000円に対する400円下落と同じ程度の値下がりに過ぎないのです。「史上3番目の下げ幅」などという言葉に動揺せず、「下落率」を計算してみることが大事なのです。
●マスコミ等の論調に注意…悲観論は注目されやすいので、報道が偏りがち
もうひとつ注意を要するのは、「世の中には悲観的な情報の方が多い」ということです。評論家もマスコミも「大丈夫でしょう」というより、「心配です!」という方が関心を持ってもらえるので、悲観的な情報を発信したがります。
●フェイクニュースに注意…不安をあおる情報は拡散力が強い
さらに最近ではネット上でフェイクニュースが多数流れますが、これも不安をあおる情報の方が拡散されやすいでしょう。こうしたことを考えると、実際に大恐慌が来る確率よりも、高い確率で大恐慌を予想してしまう投資家が多いのかもしれません。
損切りしても、狼狽売りは避けるべき
株の世界では「損切り」が大事だといわれています。値下がりした株を「今売ると損が確定してしまうから、それを避けるために売らずに塩漬けしておこう」と考える投資初心者が多いので、それを戒めるものです。
もっとも、これは主に個別株に関するもののようです。個別株の場合には、「思っていたほど素晴らしい会社ではないことがわかった」といったケースも多いので、そうであれば早く処分しよう、ということなのでしょう。
これに対して、日経平均株価が下がった場合には、狼狽売りをせずに持っていれば戻る場合も多いので、原則として「暴落しても持ち続けよう」ということだと筆者は理解しています。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
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塚崎 公義
経済評論家
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