金融機関は何を重視して融資を決めるのか?
不動産経営にかかわる法令改正の影響もあり、金融機関の融資に対するスタンスも変化してきました。
購入する人と販売する人を結ぶ金融機関のスタンスこそが、不動産投資市場に一番の影響を与えます。なぜなら、マンション経営を始めるに当たり、ほとんどの人が融資を受けてスタートするからです。金融機関が融資しない限り、ほとんどの人はマンション経営ができません。融資をする方の金融機関も、融資したオーナーが、マンション経営で失敗すれば貸したお金が返ってこないことになります。このような事態は、金融機関としては一番避けなければならないことです。
つまり、マンション経営を始めるに当たり
①マンション経営の目的
②購入する物件のエリア
③融資を受けるオーナーの資産背景
④失敗しないプラン
この4つがそろって初めて融資を受けることができます。この4つの条件をクリアした上で融資を受けたオーナーのマンション経営は、ある意味、金融機関から貸し倒れのリスクが少ないというお墨付きを得たプランになります。
反対に、金融機関は、失敗しそうなプランや物件には、決して融資は行いません。株やFXに融資しないのは、融資したお金が返済される見込みが少ないからです。金融機関から、低金利で融資を受けられたオーナーは、安心してマンション経営を行える環境を手にしたとも言えるでしょう。
1%台の低金利で融資を受けられる2つのパターン
不動産投資を行う人に融資をする金融機関は多々ありますが、すべての物件に対して低金利で融資をしてくれるのでしょうか。答えは、ノーです。1%台の低金利で融資を受けることのできる方法は、主に2つのパターンになります。
1つは、金融機関が担保割れしない金額しか融資しないパターン。この場合、万が一、融資した人が不動産投資に失敗した際に、担保である物件を現金化することによって、金融機関の損失回避ができるため、低金利で融資してくれます。ある意味これは、不動産投資の成否を判断しているのではなく、最悪失敗しても銀行に痛みが及ばないため融資が受けられるということです。
これは、プロパーローンと呼ばれるメガバンクや地銀、信金が不動産投資に融資する際の一般的なやり方で、そのため融資を受けられるのは、失敗しても問題のない資産背景のある人に限定されます。
もう1つは、サラリーマンや公務員が、老後の年金対策のために、地域限定で行う新築もしくは築20年以内のワンルームマンションに対する融資です。その地域とは首都圏なら東京23区プラス横浜市、川崎市。関西なら大阪の中心部になります。
つまりサラリーマンや公務員が、老後の年金対策のために行うマンション経営には、1%台の低金利で融資するということです。今まで、築20年以内(1995年築以降)のワンルームマンションは、老後の年金対策として金融機関が融資してきた実績があります。
金融機関は、その実績の中で、融資していい物件とそうでない物件の見極めをし、ノウハウを築いた結果、2000年代前半は、3%を超えていた融資金利も、現在は1%台まで下がりました。これは、長期金利が下がったこともありますが、案件数が増えノウハウが蓄積されたからでもあります。その実績とノウハウのおかげでマンション経営は、金融機関にとって貸し倒れリスクが少ない資産運用と判断されているため、1%台の低金利でも融資できるのです。
逆に築年数が20年を超え古くなったワンルームマンションや中古のアパートなど、不動産投資初心者が行うには、リスクの大きい不動産投資には、積極的に融資していません。
融資するにしても金利が高めに設定されるか、多額の頭金が要求されます。金利には、当然貸し倒れのリスクも含まれているため、安全の尺度として融資金利を目安にすることは、1つの判断材料と言えるでしょう。
老後破産を回避したいオーナーと老後破産回避の目的のために融資したい金融機関と安定した家賃供給を可能にする好立地の物件を管理し運用のサポートを行う不動産会社の目的が一致すれば、マンション経営スタート時点でのリスクは大幅に軽減されます。