オイルショック再来の足音…フィリピンが直面する「中東送金リスク」とインフレの正体
3月9日週「最新・フィリピン」ニュース
写真:PIXTA
中東情勢の緊迫化が、世界経済に再び「オイルショック」の影を落としています。なかでも、アジア太平洋地域で最も深刻な直撃が懸念されているのがフィリピンです。同国は近隣諸国のような燃料補助金を持たず、国際価格がダイレクトに家計を直撃する、極めて脆い市場構造を抱えています。原油高が招くインフレ加速と通貨ペソ安の連鎖、さらには国家経済の生命線である「240万人の海外出稼ぎ労働者(OFW)」からの送金リスク。マルコス政権は減税という諸刃の剣に手をかけようとしていますが、財政規律とのジレンマは深いものがあります。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が地政学リスクの荒波にさらされるフィリピン経済の弱点と、迫りくる「原油85ドル」の防衛線を検証します。
ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
矢内一好(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
財政健全性と国民負担軽減の間で揺れる出口戦略
議会では超党派の支持が広がり、付加価値税(VAT)の停止案が出るなど、対応の緊急性は共有されています。しかし、最大の懸念は財源の確保です。物品税の徴収停止は年間で約3000億ペソの税収減を招き、インフラ投資や成長の原資を損なう恐れがあります。減税という「即効薬」が財政規律を脅かす「諸刃の剣」となるリスクを政府も注視しています。並行して公的機関へのエネルギー削減指示や、国民への節電要請も進められています。備蓄は50〜60日分が確保され、短期的な供給途絶は回避可能とみられますが、長期戦への備えは急務です。
今回の危機で浮き彫りになったのは、エネルギー自給率の低さと市場連動型の価格体系という、長年の構造的弱点です。BSPは金融緩和を進める方針でしたが、地政学リスクと物価高が交錯する中、物価安定と景気支えの両立という難題に直面しています。短期的な家計負担の軽減と、中長期的な財政健全性のバランスをいかに堅持するか。そして再生可能エネルギーへの転換を加速させ、外部ショックに耐えうる経済基盤を構築できるか。この問いへの決断が、フィリピンの持続的な成長を左右することになります。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブディレクター
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア・ユニシス)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載投資すべき国No.1「フィリピン」を取り巻く最新事情
※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。