年金生活を送るシニア世代が、意図せず「孫差別」をしてしまう――。そこにあるのは個人の性格の問題ではなく、現代の親子関係が抱える「経済格差」と「依存の構造」です。年金月25万円で暮らす、あるシニア夫婦の事例から、この問題を見ていきましょう。

「無意識の孫差別」と「老後破綻」を防ぐには

Aさんの失敗は、経済的な不平等を親心で埋めようとした結果、自立している長女に「努力損」を感じさせる逆差別を生んだ点にあります。また、次女への場当たり的な補填は自立心を奪う依存の常態化を招きました。

 

共倒れを防ぎ、家族の平穏を取り戻すためのヒントは以下の3点です。

 

●「平等」を徹底する

経済状況に関わらず、孫への援助は最初からできるだけ揃えるのが鉄則。経済的に恵まれている子どもが自ら援助を断れば話は別ですが、基本は「片方に損をさせないこと」。不平等になるぐらいであれば、どちらにも援助しないと決めるのも一考です。

 

●生活費の補填を断つ
日用品や習い事への月謝は「給付」になり、際限がなくなります。援助は入学祝い等のイベントに限定し、日常の不足は親の責任でやりくりさせます。

 

●「資産維持」こそ最大の孝行
いま孫に使う10万円より、将来自分が介護施設に入る費用を確保しておくことの方が、長期的に見て子どもや孫たちへの負担を減らす最大の贈り物になります。

 

Aさんがすべきは、財布を開くことではありません。自分が援助していた真意と、その結果として老後資金が減った事実を娘2人に伝えること。「今後はどちらの娘・孫にも平等に、できる範囲で」と宣言・実行することこそ、家族のバランスを取り戻し、老後資金の枯渇を回避する方法だといえるでしょう。

 

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