(※写真はイメージです/PIXTA)

親が認知症になったとき、介護費用や実家のお金をどう管理するか。多くのご家庭が直面する問題ですが、「家族間の暗黙の了解」ほど危ういものはありません。親を想っての行動であっても、金融機関のシステム上では単なる「不正取引」とみなされることがあります。その結果、ある日突然、実家の大切な資産が完全に凍結されてしまうのです。本記事では、認知症の父のためによかれと思って取った行動が裏目に出てしまった長男のケースから、ご家族の財産を守るための現実的な防衛策を解説します。

親の口座凍結を防ぎ、安全に介護費用を用意するには

親の口座凍結を防ぐためには、ご家庭の状況に合わせた事前の枠組みづくりが必要になります。代表的な対策としては、大きく分けて2つの方向性があります。

 

一つは、一部の銀行が提供している「予約型代理人サービス」などの活用です。これは親が元気なうちに家族を将来の代理人として登録しておく仕組みです。

 

あらかじめ登録しておくと、将来、認知症と診断された際に、銀行所定の診断書などを提出すれば、その銀行の口座に限って家族が引き出しを行えるようになります。ただし、利用できる銀行が限られ、実家の売却などには対応できないという制限はありますが、費用を抑えて「当面の生活費や介護費の引き出し口」を一つ確保する手段としては有効です。

 

もう一つは、より包括的な対策である「家族信託(民事信託)」です。

 

親が元気なうちに、特定の預金だけでなく、実家などの不動産の管理権も信頼できる家族に託しておく仕組みです。現金や実家の売却を一元管理できるため、「将来、施設入居費が足りなくなったら、空き家になった実家を売却して費用に充てる」といった柔軟な資金繰りが可能になります。

 

「費用を抑えた手軽な代理人サービス」から始めるか、「将来の変化に対応できる家族信託」を組むか。他にもさまざまな対策方法がありますが、ご家族の資産状況や方針に合わせて選ぶことが大切です。

現実的な資金計画の重要性

加えて、一つお伝えしておきたいことがあります。それは「法的な対策を作っただけでは、介護費用の問題は根本的には解決しない」ということです。

 

どれだけ完璧な家族信託や代理人登録を済ませて「お金を引き出せる状態」を作ったとしても、毎月の老人ホーム代や医療費の支出が親の年金や預金を上回るペースで続けば、いずれ資金は底をつきます。

 

「誰がお金を引き出すか」という問題をクリアすると当時に、「この施設に入居した場合、親の資産は何年持つのか」「月にいくらまでなら安全に取り崩せるのか」という、現実的な資金計画(キャッシュフロー)を立てる必要があります。

 

介護は時に長丁場になります。法律の知識に基づく「制度の構築」と、ファイナンシャルプランの視点に基づく「長期的な資金計画」。この両輪が揃って初めて、ご家族は本当の意味で安心して暮らしていくことができます。

 

「家族関係は良好だから大丈夫」「暗証番号を知っているから安心」。そんな思い込みを一度手放し、まずは親の資産状況や今後のライフプランについて、ご家族で話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

市山 智

司法書士/行政書士/AFP(日本FP協会認定)

 

※本記事は、筆者の経験に基づき、守秘義務の観点から事例を一部修正・変更して作成しています。また、本記事で紹介した対策は一例であり、個別の状況や資産内容等によって最適な判断・選択は異なります。金融機関ごとの具体的な手続き方法については各窓口へ、ご家庭に合った対策の選び方については専門家へ、それぞれご相談されることをおすすめします。

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