もし何かあったら…〈世帯年収1,200万円〉30代新婚夫婦が「7,000万円のペアローン」で直面する“家計崩壊”の恐怖【CFPが解説】

もし何かあったら…〈世帯年収1,200万円〉30代新婚夫婦が「7,000万円のペアローン」で直面する“家計崩壊”の恐怖【CFPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

IT企業に勤めるケンタさん(仮名・35歳)は、外資系企業に勤める妻とあわせて世帯年収1,200万円の高年収世帯です。第一子の誕生を控え、7,200万円の注文住宅の購入を計画していましたが、契約直前になってケンタさんは「本当に毎月30万円を払っていけるのか」と強い不安に苛まれるようになりました。収入は十分にあるはずの家計に潜む「楽観シナリオ」の脆さと、重大なリスクについて、CFPの新井健二氏が解説します。

複数の不安定要素が重なる危険性

このケースで専門家が最も懸念するのは、複数の不安定要素が重畳的に存在している点です。

 

結婚してまだ半年という新婚期間であること、妻が妊娠中で産休・育休による収入減や働き方の変化が想定されること、そして妻が外資系企業勤務であり海外転勤の可能性があることなどが挙げられます。

 

さらに、ケンタさん自身も現在の勤務先に勤めて3年と日が浅く、今後の収入が確実に安定しているとはいいきれない点や、完済予定が70歳と長期にわたる点も、大きな懸念材料となります。

想定すべき3つの「リスクシナリオ」

具体的な「リスクシナリオ」をシミュレーションしてみると、状況の危うさがより鮮明になります。

 

一つ目は、夫婦どちらかが失業や休職をした場合です。仮にケンタさんが失職して妻の収入頼りになったり、逆にケンタさんの収入のみになったりした場合、毎月30万円の返済は重くのしかかり、借金をしなければ生計が維持できなくなります。

 

二つ目は、妻のエレナさんが海外へ単身赴任することになった場合です。二重生活で出費がかさむうえ、ケンタさん一人の収入で家を維持しようとすると、生活は瞬く間に破綻します。

 

そして三つ目が、万が一離婚に至った場合です。もしエレナさんが海外に移住してしまえば、金融機関が彼女に支払いを請求するのは現実的に困難になります。結果として、主債務者であるケンタさんが残りのローン全額を一人で背負う事態になりかねません。

 

もし返済が滞って家を売却することになっても、7,200万円の物件が中古市場で評価される額は4,500万円程度です。売っても多額の借金が残る「オーバーローン」となり、一人で一生、住まない家のローンを払い続ける最悪の結末が予測できます。

家計の耐久力(バッファ)の欠如と解決策

今回の事例で注目すべきは、世帯年収1,200万円という高収入でありながら、金融資産(貯蓄)が200万円しかないという点です。これは日常的な支出が多いことを示唆しており、不測の事態への耐久力(バッファ)が皆無であることを意味します。

  

FPの意見としては、今回の住宅購入はいったん止めるよう強く進言します。いきなり多額のローンを組むのではなく、まずはローン返済想定額に近い月20万円を貯蓄に回し、数年で500万円程度の頭金を作る実績を積んでみること。

 

このように、いったん購入欲の熱を冷まし、想定返済額と同等の貯蓄を継続できるかテストしてみることが、将来の破綻を防ぐための重要な防衛策となるでしょう。

 

 

新井 健二

新井司法書士事務所

司法書士/ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

 

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