世帯年収1,200万円、7,200万円のマイホーム契約直前で募る不安
地方の県庁所在地にある大手ハウスメーカーの住宅展示場。IT関連企業に勤めるケンタさん(仮名・35歳)と、妻のエレナさん(仮名・32歳)は、理想的なマイホームの模型を前に胸を高鳴らせていました。
半年前に結婚したばかりの新婚夫婦である二人の世帯年収は、額面で1,200万円に達します。ケンタさんの年収は500万円、欧米出身のエレナさんは外資系企業に勤務しており、年収700万円を稼いでいます。現在はエレナさんのお腹に第一子を授かっており、新しい家族を迎えるための広い家を探していました。
二人が検討しているのは、土地付きの注文住宅で総額は7,200万円です。手持ちの貯金200万円をすべて頭金に入れ、残りの7,000万円を35年のペアローンで組む計画でした。金利は固定で1.5%、毎月の返済額は約30万円になります。
ハウスメーカーの担当者は、二人の合算年収を見て太鼓判を押しました。保険会社のライフプランナーによる診断でも、現状の収支なら問題ないとの結果が出ています。エレナさんもすっかりその気になり、契約は秒読み段階に入っていました。
しかし、ケンタさんの胸中には、拭いきれない不安がありました。
「毎月30万円の返済は本当に大丈夫なのだろうか。今は二人で働いているから払えるけれど、もし何かあったら……」
不動産購入の判断期限が迫るなか、ケンタさんは精神的に追い詰められていきました。周囲のプロたちが「買える」というなかで、自分だけが漠然とした恐怖を感じているのです。
「本当にこのままハンコを押してしまっていいのだろうか……」と、ケンタさんは決断できずにいます。
専門家が指摘する「隠れたリスク」と破綻のシナリオ
住宅購入の現場では、どうしても「買いたい」という気持ちが先行し、将来の収入や生活が順調に推移することを前提とした「楽観シナリオ」で計画が進みがちです。
ケンタさんの事例のように、ハウスメーカーなどが「問題ない」と診断しても、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点で冷静に分析を行うと、見過ごしてはならない重大なリスクが浮き彫りになります。
