フィリピン再エネ市場が「独走状態」に入った全内幕…外資100%解禁と「破格の税制」に米系大手が殺到する理由
2月23日週「最新・フィリピン」ニュース
写真:PIXTA
かつて「外資に厳しく、電力コストが高い」と敬遠されたフィリピンのエネルギー市場が、歴史的な大転換を迎えています。2022年の外資100%解禁という「禁じ手」とも言える規制緩和を皮切りに、今や東南アジアで最も野心的な再エネ投資の集積地へと変貌政府が掲げる「再エネ比率50%」という高い壁を突破するため、背後で動き出したのは「世界最高水準」の優遇税制と、島国フィリピンを一本に繋ぐ巨大送電網の近代化プロジェクトです。米系エンジニアリング大手ブラック&ヴィーチをはじめ、グローバル資本がこぞってこの地を「ASEAN屈指の有望市場」と位置づける真の理由はどこにあるのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、規制・税制・インフラという「三位一体」の戦略がもたらす、フィリピン再エネ市場の独走態勢とその全貌を解説します。
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供給網のを強化する「ワン・フィリピン・グリッド」の実現
しかし、いかに発電容量を拡大し投資を呼び込んでも、電力を届ける「血管」が細ければ機能しません。比国家送電網(NGCP)は今、史上最大規模のネットワーク拡張計画を推進しています。
2024年初頭には、長年の悲願であったミンダナオ-ビサヤ相互接続プロジェクト(MVIP)が通電。これにより、ルソン、ビサヤ、ミンダナオの三主要地域が連結する「ワン・フィリピン・グリッド」が実現しました。さらにNGCPは、2026年までに総額185億ペソ(約480億円)を投じ、主要7プロジェクトを完遂させる計画です。政府系ファンド「マハリカ・インベストメント」による資金注入も決定し、公的資本の支援を受け、再エネの大量導入に耐えうる「強靭なスマートグリッド」への変貌を急いでいます。
「外資100%解禁」と「手厚い税制」で資本を呼び込み、NGCPの「グリッド近代化」で物理的な受け皿を作る。フィリピンの戦略は極めて明快です。依然として用地取得や許認可の遅れといった課題は残るものの、グローバル企業の知見と官民一体のインフラ整備が噛み合えば、フィリピンは脱炭素と経済成長を両立させる「アジアのエネルギー転換モデル」となるでしょう。
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一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブディレクター
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア・ユニシス)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている
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