経済上の効果が期待できる「女性の活用」だが・・・
翻って考えてみると、現代の日本社会では、ありとあらゆる場面で経済性や合理性、効
率性ばかりが追求される傾向がみられます。そのために「人と人とのつながり」が希薄に
なる弊害がもたらされているのではないでしょうか。
たとえば今、政府は女性の活用を掲げ、その社会進出を促す政策を推し進めているところです。
確かに、女性の活用が社会全体で広がれば、人手不足の緩和や、あるいは育児ビジネスの需要増をもたらすなど、少なからぬ経済上の効果を期待できるかもしれません。
しかし、それは結果として、母親と子どもが一緒に過ごす時間が大きく削られる事態につながるはずです。つまり、「親と子のつながり」が希薄なものになる危険があるのです。
このように経済性、効率性を追い求めた結果、人と人とのつながりが希薄になっていくことは、社会にとって決して望ましいことではないはずです。
子どもの問題行動に目が届かなくなっている地域社会
2015年2月に神奈川県川崎市で中学1年生の男子が少年3人に殺害されるという衝撃的な事件が起こりました。
また、同年8月には大阪府で、やはり中学1年になる少年と少女が深夜に街を徘徊した末に、拉致され殺されるという痛ましい事件が発生しています。
この両事件に共通した背景として、「人と人とのつながり」が失われていることが指摘されました。親を含めた地域社会や学校の大人たちと子どもたちとの関係性が弱まり、子どもの問題行動に目が届かなくなっていることが、これらの悲劇的な事件をもたらした根本的な原因であるともいわれています。