(※画像はイメージです/PIXTA)

デジタル化が進み、スマホやPCに資産を管理できる現代。便利なツールを駆使して「スマートに」運用しているつもりでも、その中身がブラックボックス化していれば、万が一のとき遺された家族は正体不明の損失や専門用語の壁に立ち向かうことになります。本記事ではFPの下田幸彦氏が、夫婦間のマネーリテラシー格差が引き起こしたデジタル資産の相続トラブル事例を解説します。

「マネーリテラシー格差」が生んだデジタル遺産の相続トラブル

今回のケースの問題点は、Kさんから奥様へパスワードを教えていなかったことだけではありません。

 

最大の問題は、夫婦間のマネーリテラシーの格差を放置したことにあります。

 

ネット銀行やネット証券は便利ですが、紙の通帳のような「誰の目にも明らかな証拠」が残りません。そのため、管理者がいなくなった瞬間に、資産はただの「アクセス不能なデータ」へと変わります。

 

今すぐできる「デジタル終活」の3ステップ

ITエンジニア出身のFPとして、私は以下の3点を推奨しています。

 

1. 「資産の棚卸し」をアナログで残す

パスワードそのものを書くのが不安なら、「どの銀行・証券会社に口座があるか」のリストだけでも紙で残し、保管場所を共有してください。

 

2. 投資の「目的」を言葉にする

「この銘柄はあなたの将来のために持っているものだ」と一言伝えておくだけで、遺族の行動は変わります。

 

3. 信頼できる「第三者のプロ」を介在させる

もし今回、私が奥様と生前から面識があり、Kさんの意志を「通訳」できていれば、大切な資産を安易に売却せずに済んだかもしれません。

 

大切な資産を引き継ぐために

スマートなデジタル管理は、生きている間は武器になります。しかし一方で、死後は遺族を苦しめる最凶の刃にもなり得ます。

 

「自分がいなくなっても、この人は迷わずにお金を使えるだろうか?」その視点を持つことこそが、本当の意味での「家族を守る資産形成」ではないでしょうか。

 

 

下田 幸彦

青い森FP事務所

代表/CFP®

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