(※画像はイメージです/PIXTA)

デジタル化が進み、スマホやPCに資産を管理できる現代。便利なツールを駆使して「スマートに」運用しているつもりでも、その中身がブラックボックス化していれば、万が一のとき遺された家族は正体不明の損失や専門用語の壁に立ち向かうことになります。本記事ではFPの下田幸彦氏が、夫婦間のマネーリテラシー格差が引き起こしたデジタル資産の相続トラブル事例を解説します。

「NISAの移管」が未知の言語に聞こえる

「NISA口座の株式を、奥様の特定口座へ移管しますか?」

 

金融機関のオペレーターが発する専門用語は、投資未経験の奥様にとっては未知の言語に等しいものでした。何を聞かれているのかわからない、間違えたら大変なことになる――。

 

恐怖に駆られた奥様が出した結論は、「すべて売却して現金にする」ことでした。

 

実はKさんは、自営業の奥様の老後のために配当利回りが安定した優良銘柄を厳選して保有していました。しかし、その「想い」を知らない奥様にとって、株はただの「怖いもの」でしかありませんでした。

「正体不明の借金」がさらなる悲劇を招く

さらに悲惨だったのはFXです。Kさんの死後、相場の急変によりポジションが悪化していました。

 

ようやく画面を開いた奥様の目に飛び込んできたのは、赤字で表示された「-500,000円」という数字でした。はじめてその損失額を目にしたとき、軽いパニック状態になったと語ります。

 

「このままでは借金を背負うかもしれない」と、含み損の数字を見ること自体がストレスに。対処法もわからず恐怖に支配された奥様は、震える手で決済ボタンを押し、50万円の損失を確定させてしまったのです。

 

生前のKさんなら冷静に対処できた場面でも、知識のない遺族にとっては、それはただの「恐怖の数字」でしかありませんでした。

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