アナログ行政を根こそぎ変える「デジタルガバメント構想」
さて、「骨太の方針 2025版」で私が最大級に注目しているテーマのひとつが「デジタル・ガバメント構想」です。これは単に「行政手続きをオンライン化しよう」という話ではありません。
日本政府のアナログな機能そのものをデジタル技術によって、根こそぎ再構築しようとする挑戦です。そうは言っても、いったい何がどう変わるのか、ここを理解するのはかなり難しいです。投資に際しては、自分の頭で理解できないものには手を出してはいけません。
ただ、これが日本の社会課題であるのは間違いなく、進むべき大きな方向性です。皆さんにも、自分の言葉で説明できるようになっていただけるよう、できるだけかみくだいてお話しさせていただきます。
まず、「なぜ、今、デジタル・ガバメント構想が求められているのか」です。その背景として、まず最初に挙げられるのは人口減少と高齢化です。これによって、行政コストが急激に上昇しています。特に、人口が減って公務員として優秀な人材の確保が難しくなりつつあるなか、高齢化によって社会保障費は増え続けています。
そんな状況ですから、政府・自治体ともに、行政効率を高めていくことは、私たちの税負担の観点からも最重要課題になっています。
たしかに、民間がどんどんデジタル化していっているのに、政府だけがいつまでもアナログのペーパーで書類申請しなければならないなんて、本当に非効率ですよね。民間の成長を完全に妨げています。
デジタル申請で許認可業務がスピーディになるだけで、民間の成長機会は大きく拡大する可能性があります。
地方自治体のデジタル化の遅れは、想像以上に深刻です。たとえば、ある市役所では住民票の写しを発行する際、いまだに担当者が紙の台帳と住基システムを手作業で照合しているそうです。別の自治体でも、子育て支援の申請や高齢者福祉の手続きがオンラインで完結することができず、窓口まで足を運ばなければならないと聞きました。
こうした状況は、じつは自治体ごとにも大きな差があり、対応が遅れている自治体は、役所側も窓口対応するための人員を確保しなければなりません。これがたいへんな負担になっています。
省庁や自治体で分断された行政システムの弊害
この問題の根幹には、日本の行政システムが長年にわたり、省庁や自治体ごとにバラバラのシステムを導入してきたことがあります。
たとえば、国の厚生労働省が管理する「医療保険データ」と、自治体が持つ「住民基本台帳データ」や「税情報データ」は、基本的には直接連携していません。
都道府県と市町村でもシステムの仕様が異なるため、データをやり取りする際には、わざわざExcelファイルをメールで送付したり、紙に出力してFAXで送るという場面がいまだにあるそうです。
他にも、この「システムの乱立」と「データの分断」が、迅速な政策対応を妨げている例があります。
たとえば災害発生時、国が避難所の開設状況や被災者数をリアルタイムで把握しようとしても、自治体ごとに入力形式やシステムが違うために情報がすぐに集まらない。
結果として、コロナの流行時にも、患者データが自治体から国へスムーズに共有されず、対応が後手後手に回ってしまったというのは、記憶に新しいところです。
