前回は、不動産建築業者を選ぶ際のポイントをご紹介しました。今回は、不動産管理会社が勧める「家賃保証」には注意が必要な理由を見ていきます。

管理会社が家賃を保証する制度、「サブリース」とは?

前回に引き続き、住宅メーカーの営業マンの巧妙な手口、営業トークについて具体的に見ていきます。

 

◆要注意トーク4「空室? 家賃保証をつけますからご安心を」

 

空室率が悪化しているのに、賃貸アパートの着工件数が増えている実態を紹介しました。その理由の一つとして挙げられるのが、家賃保証制度の存在です。

 

「サブリース」「一括借り上げ方式」とも呼ばれる同制度の仕組みは、簡単にいうと、建物の賃貸管理を請け負う管理会社が一括借り上げし、空室が出ても決められた家賃を支払うというものです(つまり、入居状況に関係なく賃料が一定のため「家賃保証」と呼ばれています)。

 

ちなみに、管理会社とは、アパートを建築する建設業者自体、あるいはその関連子会社が請け負うなど、一定の提携関係にあり、家賃保証だけでなく、賃貸経営に付随する管理業務を行っています。

家賃収入を永続的に保証!? そんなおいしい話はない

そこで、「ご心配であれば、〇年一括借り上げをご用意しておりますので安心です」「オーナー様に代わって賃貸経営の全てをお引き受けします」と持ちかけるわけです。

 

オーナーにとって一番の不安要素である空室リスクをカバーしてくれる上に、管理までやってくれるなら「素人の私でも大丈夫かもしれない」と、グッとハードルが下がった形で賃貸経営に乗り出す人が増えるのはむしろ当然のことかもしれません。

 

ただし、冷静に考えてみてください。空室のリスクがなく、家賃収入が永続的に保証されるようなそんなおいしい話があるわけがありません。慈善事業ではないのですから、管理会社にとってもメリットがなければ、ビジネスとして成立するわけがないのです。

 

次回は、いわゆる「家賃保証」の裏にはどんなカラクリがあるのかを詳しく見ていきます。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

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