ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
財産分与は1,200万円…夫婦の資産額と「わけるお金」の残酷な差
夫の冷めた態度に離婚に同意したAさん。離婚の話を進めるなかで、Aさんが最もショックを受けたのは、財産分与の現実でした。
「時価1億円前後の家があるのに、なぜ1,200万円なの?」
Aさんの頭の中では、「2人で住んでいる家なのだから、半分くらいは私のものになるのでしょう」という期待がありました。しかし、いまの時価が大きくみえても、離婚で「その半分」がそのまま動くとは限りません。誤解が起きやすいのですが、離婚時に整理されるのは、原則として夫婦が婚姻中に協力して築いた財産に限られます。
一方で、婚姻前から持っていた財産(いわゆる特有財産)は、基本的に分与の対象になりにくいのです。今回のタワマンは、Bさんが婚姻前に購入したものです。個別の状況によって異なりますが、少なくとも「家の価値が高い=半分もらえる」とは直結しません。
さらに、もし住宅ローンが残っていれば、仮に売却するにしても、
・ローン残債
・仲介手数料など売却コスト
・税金(譲渡所得が出る場合)
が差し引かれ、手元に残る金額は目減りします。
そして、仮に婚姻期間中に住宅ローン返済やリフォーム等の“共有の貢献”があったとしても、争点になるのは「時価」ではなく、婚姻期間中に増えた分(あるいは共有財産として認められる部分)です。
離婚前には、単に世帯の資産規模ではなく、“2人でわける資産ベース”でみる必要があります。
離婚後の住まい探しで直面する「買えない」「借りにくい」
離婚後、Aさんはまず家を買うことを考えました。しかし、都内の不動産価格は高騰しており、手元の自己資金では選択肢が限られます。
「なら住宅ローンを」と思っても、60歳・パート勤務の単身では、金融機関の審査ハードルは高いものです。就業実績が乏しければ、返済原資を説明できません。立地を妥協し、築年数を許容しても、Aさんが「これなら」と思える物件はみつかりませんでした。
――買えない。
次にAさんは賃貸へ舵を切りました。しかし、ここでも新たな壁に突き当ります。年齢と保証の壁です。何件も内見を断られ、ようやく入居できたのは、築40年のアパート。浴室は狭く、冬は底冷えがします。タワマンの眺望と静けさは、もうどこにもありません。
気づけば、離婚時に受け取った財産分与は、引っ越し費用や家財の購入、生活費などで思った以上に減っていきました。
「こんなはずじゃなかった」
Aさんは、働くしかありませんでした。Aさんはアパートの薄い壁をみつめながら、震える手で履歴書を書きます。職歴の空白が、Aさんの心に重くのしかかりました。
