アパートで暮らす“1.5億円の預金者”
「クセで、つい電気はこまめに消すし、冷蔵庫の中身も最後まで使い切っちゃうんです」
そう話すのは、郊外のアパートに暮らす木村美智子さん(仮名・70歳)。外見も振る舞いもごく一般的な高齢女性に見えますが、実は美智子さんには1億5,000万円を超える預金があります。派手な服も宝石もなく、毎日スーパーのチラシを見て特売品を買いに出かける姿からは、まさかそんな資産があるとは思えません。
「若いころから“使わないのが当たり前”って思って生きてきたの。贅沢してお金が減っていくのが怖いのよ」
美智子さんは40代後半まで、都内の企業で経理の仕事をしていました。結婚歴はなく、独身のまま定年を迎え、現在は企業年金と厚生年金を合わせて年間約240万円を受給しています。
「子どもがいないし、両親もすでに亡くなっているから、老後は静かに暮らせればそれでいいと思っているの」
もともと几帳面な性格で、働いていたころから毎月の支出を細かくノートに記録し、ムダを徹底的に削ってきたといいます。住宅は20年前にUR賃貸から現在のアパートに移り、家賃は月5万円台。車も持たず、家電もほとんど買い替えていません。
「周りの友達からは“もっと使えばいいのに”って言われるけど、私はこれが性に合っているのよ」
一方で、1億5,000万円という預金については、「特別なことをしたわけではない」と首を振ります。
「ちょっとずつでも長く働いてきたし、ボーナスや退職金はほとんど手をつけずに預金していたの。それに、両親が亡くなったときに少しだけ相続したお金もあったけど、やっぱり不安で使えなかったのよ。投資信託や株もやってなくて、ずっと定期預金だけ」
現役時代の収入は決して高くなかったものの、地道な蓄えを重ねてきたそうです。もちろん、資産を増やすことが目的ではなく「不安だから残しておきたい」という心理が強かったとのこと。
「別に、海外旅行に行きたいとか、ブランドのバッグが欲しいとか、そういう気持ちがわかないのよ。お風呂入って、テレビ観て、晩ごはん作って。それだけで私は十分だから」
