(※写真はイメージです/PIXTA)

どれだけ年を重ねても、「親は親」「子は子」であり続ける――。そう信じている人は少なくありません。けれど実際には、高齢の親と中高年の子どもの関係がこじれ、絶縁状態に陥るケースもあります。内閣府の『高齢社会白書(令和7年版)』によると、65歳以上の高齢者のうち、子どもと同居している人の割合は減少傾向にあり、子と「別居」しながら暮らす人の割合が年々増加しています。背景には、親子それぞれの生活スタイルの違いや価値観のズレ、そして関係性そのものの変化があると考えられます。

「親子だから何でも分かり合える」と思っていたが…

「“私たち親子は、もう終わり”――そう言われた時は、本当に頭が真っ白になりました」

 

そう語るのは、東京都内のUR団地に暮らす76歳の中村美津子さん(仮名)。夫に先立たれて10年、年金月13万円の一人暮らしです。

 

毎月数回、自宅に顔を見せてくれていた一人娘・遥さん(45歳)から、ある日突然「もう連絡しないでほしい」と告げられたといいます。

 

「確かに、最近は些細なことでぶつかることも多くなっていました。娘は仕事が忙しく、私の話にうんざりしていたのかもしれません。でも、まさか絶縁されるなんて…」

 

美津子さんは、これまで「親子だから何でも分かり合える」「いざとなれば助け合うのが家族」と信じて疑わなかったといいます。

 

一方、遥さんは違いました。

 

「母はずっと“親なんだから、何を言ってもいい”という態度でした。でも私は、子ども時代からずっと、否定されてばかりだった。結婚相手にも、仕事にも口出しされてきて……それが限界だったんです」

 

遥さんにとって、「親であること」が免罪符のように使われることが、何よりも苦しかったといいます。

 

高齢の親と中年期以降の子どもの関係性は、経済的・精神的に複雑です。

 

多くの高齢者は年金や貯蓄で自立した生活を送っている一方で、病気や要介護状態になると、やはり頼れるのは家族。親子関係が悪化していても、いざというときの連絡先や身元保証人を「子」にせざるを得ない現実もあります。

 

「娘に頼らずに生きていくしかないと分かっているけど……この年になると、ひとりでいるのはやっぱり寂しいです」

 

そう語る美津子さんは、最近は近所のサロンや地域の見守りサービスを利用しながら、少しずつ新しい人間関係を築き始めているといいます。

 

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