都心から40分の戸建て…2年暮らしてわかった「想定外」
「年収的には買えた。でも、踏み切れなかった」
そう語るのは、東京都内に勤める会社員の夫・健太さん(仮名・42歳)と、パート勤務の妻・由美さん(仮名・40歳)です。世帯年収は約1,200万円。第一子が小学校に上がるタイミングで、住宅購入を本格的に検討しました。
当初は、都心部のタワーマンションが第一候補でした。
「共用施設も充実していて、通勤も楽。子どもの教育環境も考えると、魅力的でした」
しかし、検討を進める中で、価格とランニングコストが現実味を帯びてきます。物件価格は8,000万円超。管理費や修繕積立金、固定資産税を含めると、毎月の住居関連費は相当な額になりました。
「払えない金額ではない。でも、“払い続けられるか”は別でした」
最終的に夫婦が選んだのは、都心から電車で40分ほどの郊外にある新築戸建てでした。価格は5,500万円。庭付きで、駐車場も確保できました。
「数字だけ見ると、ずいぶん現実的な選択だったと思います」
住宅ローンの返済額は、タワマン想定時より月に約7万円減少。その分、教育費や将来の貯蓄に回せる余裕が生まれました。
入居から2年。生活は概ね安定しています。それでも、由美さんはこう打ち明けます。
「正直、迷いがゼロになったわけではありません」
想定外だったのは、時間と労力の増加でした。
●通勤時間が片道20分以上延びた
●雨の日の送り迎えや買い出しが負担になる
●庭や外構の手入れに思った以上に手がかかる
「金銭面を考えると暮らしが“軽くなる”と思っていましたが、別の重さがありました」
総務省『家計調査(2024年)』によると、世帯主が40〜49歳の二人以上世帯では、可処分所得の中で住居費が占める割合は決して小さくありません。住宅ローンに加え、固定資産税や修繕費などの「見えにくい固定費」が、長期的に家計を圧迫する構造が示されています。
また、国土交通省『住宅市場動向調査(令和5年度)』では、戸建て購入理由として「住環境の良さ」「広さ」を挙げる人が多い一方、維持管理の負担を課題と感じる声も少なくありません。
