「65歳でリタイア」は、もはや当たり前ではありません。長く働く人が増える一方で、見落とされがちなのが“収入がいつ、どれほど下がるのか”という現実です。今回は、「想定外の年収減」に直面した56歳男性の事例から、これからの時代に必要な準備や心構えについて考えます。

「65歳でリタイア」は当たり前ではない時代に

「65歳で完全リタイア。あとは年金をもらいながら、ゆっくり過ごす」――そんな老後像は、すでに過去のものになりつつあります。

 

実際、総務省の「労働力調査」によれば、65~69歳の約半数が何らかの仕事に就いており、高齢期も引き続き働くことは今や珍しいことではありません。

 

多くの会社員は60歳定年ですが、それ以降は継続雇用・再就職など仕事を続け、少なくとも65歳までは収入を得るのが一般的です。その際、契約が変わり収入が減ることが多いですが、この「リタイアまでの収入減」を考慮して資金のプランを考えないと、老後が厳しいものになることも。

 

また、60歳まで収入をキープできるとも限りません。なかには「2段階の収入減」となるケースもあるのです。

無難な会社員人生のまま終えるはずが…急転直下のワケ

神奈川県在住の佐藤健一さん(仮名・56歳)は、新卒で入社した中堅メーカーに30年以上勤めてきました。派手な成果はないものの大きな失敗もなく、元々「普通の幸せ」を求めていた本人にとっては「順風満帆の人生」でした。

 

50代前半で課長から部長に昇進し、年収は約980万円。パートの妻と高校生の息子、住宅ローンを抱えながらも、「このまま65歳まで働けば老後は大丈夫」と考えていました。

 

ところが、会社からの衝撃的な通知で状況は一変しました。

 

「来年度から役職定年制度を導入します」

 

55歳以上の管理職は役職を外れ一般職に。役職手当は廃止されるという内容で、佐藤さんの年収は一気に約620万円まで減少することに。しかも、賞与や退職金も新たな給与水準を基準に再計算されるというオマケ付きです。

 

「経営陣が変わるという噂は聞いていましたが、まさかこんなことに……」

 

佐藤さんは顔面蒼白。楽観的だった老後計画に、一気に暗雲が立ち込めました。

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