〈礼金、仲介手数料、更新料、保証人〉不要のUR団地が人気
途切れぬ客の中に、日本人の姿はついに最後まで見つけることはなかった。一方で、大量に目にした在留中国人の客の数。背景には何があるのかと思ったが、ここでも川口の芝園団地に似た現象が起こっていた。
総菜店の近くには、高洲第一団地(4689戸)、千葉幸町団地(4287戸)など、全国的にみても規模がかなり大きい、都市再生機構(UR)が運営する賃貸の住宅団地が集まっていた。
やはり、「礼金なし」「仲介手数料なし」「更新料なし」「保証人なし」の4つの「なし」。芝園団地と同様、URのこんな打ち出しによって、この美浜区にも多くの中国人が引き寄せられていた。さらに、近くには県営や市営の団地も多くある。
川口市と並び、この美浜区は現在、中国人の急増エリアの1つになっている。取材班の調べによると、美浜区の在留中国人は約5700人に増加。区内全人口に占める比率は4%にまで上昇し、全国でもトップクラスの集積度を誇る。
中国の会社では要らない…38歳高給取りが日本に永住する残酷な理由
都内のIT企業に勤める、中国・山東省泰安市出身の男性、安浩[アンハオ]さん(38)も、そんな美浜区に住む在留中国人の1人だ。中国人の目に今、美浜や日本での生活はどう映っているのか。
――美浜区に住んで、どれくらいでしょうか。
「8年です。この辺りは中国人留学生、IT企業に勤める会社員、中国残留孤児の人やその家族が多いように思います。そのため中国人向けの専門料理店が集まっています」
――美浜は快適そうですね。
「私の会社は江東区豊洲にありますが、JR京葉線で東京に出るのも便利です。海が近いのも気に入っています。もともと近くの団地に住んでいましたが、借りるよりもう買った方がいいと思い、稲毛海岸駅前にあるマンションを買いました。3LDKで値段は4000万円。高くはありませんでした。中国人はもともと家は借りるより、いつかは買うというのが伝統ですからね、それで私も買いました」
――マンションを買ったということは、この先も日本で長く住む予定ですか。
「もともと中国で、日本企業のオフショア開発としてITの仕事をしていました。そこから日本に転勤することになったのです。当時は、『技術・人文知識・国際業務ビザ』で日本に入りましたが、今は日本の永住権も取りました」
――中国にはもう帰るつもりはないのですか。
「中国に帰ってITの仕事をやってもいいのですが、中国ではどんどん新しいIT技術が出てきて、若い人たちがそういう仕事を積極的にやっており、競争が激しいのです。私自身、もう若くはない。日本では今、私の給料はそれなりに高いけど、もし私が中国のIT企業に行きたいと言っても、中国のどの会社も私のことは要らないと言うでしょう。だからこのまま、日本で仕事することもしようがないと思っています」
