(※写真はイメージです/PIXTA)

資産があっても“今月の支払い”に困る人がいます。背景にあるのは、資産の多くが不動産や長期運用商品に偏り、手元資金が薄い「資産はあるのに現金がない」状態です。高齢世帯は年金などの経常収入に対し、住居関連費や保険医療、税・社会保険料などの負担が重なり、家計のやりくりに不安を抱えやすい構造があります。老後の家計は、残高の“総額”よりも、資産の“形”と“流動性”に左右されるのです。

「資産がある=支払いに困らない」とは限らない

税金は、払えない事情があるからといって自動的に免除されるものではありません。放置すると督促や延滞金が発生し得るため、田島さん夫婦は「隠すより先に相談しよう」と腹をくくりました。

 

窓口で案内されたのは、「今の状況」を整理したうえで、分割納付などの相談ができる可能性があることでした。

 

「“払えないなら来てください”と言われて、少し救われました。怒られると思っていたので……」(裕之さん)

 

※税の扱いは自治体・個別事情で異なりますが、一般に、事情の説明と支払い計画の相談は早いほど選択肢が残ります。

 

田島さん夫婦のケースは極端に見えるかもしれません。ただ、「資産がある=支払いに困らない」とは限らない点は、老後の家計全体に共通します。

 

資産が不動産や長期運用に偏ると、いざという時に現金化しづらい。売却には時間がかかり、価格も思い通りにならないことがあります。特に地方の土地などは、売りたくても売れない局面が起きやすい――こうした「流動性の差」が、老後の“支払いリスク”になります。

 

「資産はあるのに、今月が回らない。そんなことが自分たちに起きるとは思いませんでした」(恵美さん)

 

相談後、夫婦は資産を棚卸しし、生活費の半年〜1年分を「触ってはいけない運用資産」と切り分け、手元資金を厚くする方針に変えました。必要に応じて運用商品の一部を見直し、相続した土地の活用についても専門家に相談を始めたといいます。

 

「“持っている”だけで安心していました。でも、老後は“回る形”にしておかないとダメなんですね」(裕之さん)

 

老後の安心は、資産額の大きさだけで決まりません。

 

「いつ・いくら必要になるか」を見据え、現金化のしやすさまで含めて設計しておくこと。税金の通知が届いてから慌てるのではなく、早めに“見える化”しておくこと。――田島さん夫婦の経験は、その重要性を静かに示していました。

 

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