52歳“億り人”会社員が早期退職1年で人生暗転のワケ
もう二度と会社員なんてやらない。そのはずだった――。
そう振り返るのは、元会社員のBさん(52歳)。都内の中小メーカーで長年働き、退職前の年収は900万円超。妻と小学生の子どもがいる、普通の家庭を築いていました。
Bさんは若い頃から投資が趣味。給与の一部を株式や投資信託に回してきました。相場環境にも恵まれ、50歳を前に金融資産は1億円近くに到達。60歳を過ぎるまで自由がないことに疑問を感じていたBさんは、早期退職を決意しました。
「もう働くことはない」「会社とはここで縁が切れる」そう考えたBさんは、引き継ぎもそこそこに有給休暇を消化。職場への感謝も表に出さないまま会社を去りました。
退職直後は解放感に満ちていました。通勤も会議もない生活。昼間から株価を眺め、空いた時間で動画を観る。「最高の毎日だ」と満足していたといいます。
しかし、生活はしだいに堕落していきます。夜は眠らず、朝は起きられない。働く妻に代わって家事を担うと言っていたものの、次第に面倒になり、食事は総菜や外食が中心に。朝からお酒を飲み、身だしなみにも気を遣わなくなりました。
当然、妻の不満は積み重なっていきます。
「話が違うわよね。あなた、毎日何をしているの?」
「この生活を一生続けるの?」
問い詰められても、Bさんは答えられず、生活を変えることもできませんでした。そして、とうとう妻は子どもを連れて実家へ戻っていったのです。退職して1年が経とうとしていた時でした。
マンションにぽつんと残されたBさんは、会社員という「檻」のような枠組みこそが自分を支えていたことに気付きます。
「働かなきゃ駄目だ……」
しかし、50代かつ専門的といえるスキルを持たないBさんは、転職の厳しさを突き付けられます。面接以前に書類もほとんど通りません。いち早く仕事を見つけたいと、焦ったBさんは元の会社の人事担当に連絡を取りました。会社に向かうと、その場には人事だけでなく元部下も同席。Bさんが退職した後、そのポジションに彼が入っていました。
「検討してご連絡します」と、その場では終わりましたが、帰り際に元部下は「引き継ぎがきちんとされず、大変だったんですよ」「まさか復職されたいとは……」と含み笑いと共にチクリ。Bさんは恥ずかしさ、屈辱、申し訳なさが入り混じり顔が真っ赤になったといいます。
結局復職はかなわず、ハローワークで見つけた契約社員の仕事に就くことを選びました。
