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帰郷後に出会った“地元定住組の元ヤン”たち
15年前に東京から郷里Uターンし、今は民泊のゲストハウスを運営しながら日々を楽しく生きている。その一方で経済的にはカツカツでいつもお金のことが頭から離れない。あくまでも筆者はそんな暮らしをしているが、地方に住んでいる人がみな「貧しくとも心豊かな生活」を送っているわけではないことは強調しておく。地元の福井でも都会同様にセレブな人もいれば、日々の暮らしにも困窮しているような人もいる。ただ、全体的には東京よりもむしろ福井のほうが、経済的にも生活にゆとりがある人が多いと感じている。
筆者が15年前に東京から福井に戻ってきたときの心境は「都落ち」だった。高校はそれなりの進学校出身。毎日補習があり、宿題ができていないと立たされて教師に叱責されるので寝る時間を削って勉強した。テストで悪い点を取ると人生の落伍者のような気持ちになった。受験が近くなるとストレスで尻から血が出た。でも偏差値の高い大学に入り、一流企業勤めになればバラ色の人生が待っているのだと信じて耐えた。
何とかまあまあ有名といえなくもない大学に入り、卒業後は東京で高層ビルにオフィスを構える会社に勤務。30代前半で年収850万円に到達した。それが転職に失敗し、人生につまづいて落伍者となって地元に戻ってくるのだから、「嘲笑の的になるだろう」と気恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
しかし、昔の同級生の多くは県外に出るか、地元でも知らないところに引っ越していてほとんどが消息不明だった。当時全盛だったmixiのイベントで知った飲み会に行き、そこで会った人から芋づる式に友人とつながる。福井に戻ってきて半年経たないうちに毎週末遊んだり飲みに行ったりするようになった。
そうしてできた友人の多くは高卒だったり、地方の無名大学出身だったりした。でも休みの日には、仲間うちでBBQしたり、朝まで飲んだり、子どもの部活の応援に行ったりと楽しそうに暮らしている。
彼らの過去の写真を見せてもらうことがあるが、「ビー・バップ・ハイスクール」のような昭和ヤンキー漫画に出てくるような人も少なからずいる。Z世代にはドン引きされそうな改造学生服を着て、カメラに向かってメンチを切り(睨み)ながらポーズを取っている。それが不機嫌というわけではなく、当時はそれがカッコいいという風潮だったのだ。
もちろん筆者みたいに学校で勉強に追われたなどという話はほぼ出ない。若気の至りとはいえ、酒を飲んで自転車パクって走っていたら警察にしょっぴかれたとか、集団カンニング事件の首謀者となり教師に囲まれ呼び出された父親にその場でぶん殴られたとか、修学旅行のときに他校生とケンカするのだけはやめてくれと教師に懇願されたとか、過去のヤンチャな行為をむしろ「武勇伝語り」している。
今はマジメに働いていて、最近の若いヤツは根性が無いなどと愚痴っているのだが……そのような「元ヤン」の知り合いは珍しくない。今でこそ青年誌の主人公は陰キャやオタクも珍しくないが、40年前は半分くらいは「ツッパリ」だった。
