正解は一つではない…子世代ができる備え
高齢の親が戻らない実家を維持し続けることは、金銭的にも精神的にも負担が大きく、きょうだいが複数いる場合、管理や将来の相続トラブルの芽にもなりかねません。名義人である母が納得したうえで売却し、資金と生活を整理したことは、合理的で現実的な選択です。
Aさんの場合、売却の決断が自分の家計を助けることにもつながりました。世帯年収は約1,100万円。数字だけ見れば余裕があるように思われがちですが、子どもたちの大学費用、新築マンションの住宅ローン、日々の生活費……。決して楽ではなく、実家の維持費や固定資産税まで背負うほどの余裕はありませんでした。
母は専業主婦で、年金は父の遺族年金を含めて月17万円。貯金は施設の入居一時金を支払った後で800万円ほど。当面の施設利用費としては問題ありませんが、先々について不安がないわけではありませんでした。年金額や貯金額は、母を施設に入れるかという話のときにようやく知った事実だったといいます。実家の売却で得た約3,000万円のおかげで、母がどれだけ長生きをしても、老人ホームの費用は問題なくまかなえます。
実家を売る、親を施設に入れる……親が年を重ねると、子はさまざまな選択に迫られます。それが正解かどうかは、家庭ごとに異なります。
ただ一つ言えるのは、「親の資産や年金額はいくらあるのか」「家をどうしたいのか」といった話題を、元気なうちから時間をかけて確認・相談しておくことが、子世代にできる備えだということです。
感情が先立ちがちなテーマだからこそ、数字と選択肢を共有しておく。その積み重ねが、後悔や迷いを最小限にすることにつながるのではないでしょうか。
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