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セルフ・ネグレクトという“緩やかな絶望”
筆者がこれまで受けたリタイア世代の相談からみても、配偶者との死別や、仕事・役割の喪失をきっかけに、セルフ・ネグレクト状態に陥る人は少なくありません。高齢者に限った話ではなく、若い世代でも、引きこもりやゴミ屋敷の背景には同様の問題があることも。
ここで重要なのは、「お金があるかどうかは関係ない」という点です。磯田さんのように、資産があり、生活に不安がなくても起きてしまうのです。逆に、生活保護を受けながら酒に溺れるケースもあります。
多くの場合、妻の死によって「愛する人との日常(つながり)」を失い、さらに廃業によって「誰かの役に立つ実務(役割)」を同時に失いました。 相談現場で見る限り、この「つながりと役割」のダブル喪失は、どれほど高額な退職金や年金があっても埋めることはできません。生きるための管理能力そのものが麻痺してしまい、結果として食事や掃除といった基本的な生活を放棄する「セルフ・ネグレクト」へと突き進んでしまうのです。
この状態に対して、「酒をやめろ」「片付けろ」「しっかりしろ」といっても、ほとんど効果はありません。必要なのは、もう一度「誰かの役に立っている」という感覚を取り戻すことです。ボランティアでも、地域活動でも、孫の世話など、小さな役割で構いません。承認欲求と所属感が回復すると、行動は少しずつ変わっていくものです。
老後を支える最後の土台
厚生労働省の調査研究(平成30年度)では、自治体職員や地域包括支援センター職員など支援者を対象に、どのような状態をセルフ・ネグレクトと認識するかを調査しています。その結果、不衛生な住環境、医療・介護の拒否、社会的孤立などは多くの支援者がセルフ・ネグレクトに該当すると判断する状態であることが示されています。「不衛生な家屋に居住していること」に加え、仕事・家庭・地域とのつながりを同時に失うと、セルフ・ネグレクトに陥りやすい傾向があるようです。
人の悩みは、大きくわけると「健康・お金・人間関係」の3つに集約されるといわれます。どれか一つが崩れると、残りも連鎖的に崩れやすいものです。だからこそ、できるだけ若いうちに自分自身としっかり向き合い、「自分はなにに価値を感じて生きたいのか」「誰と、どう関わっていたいのか」を言語化し、自分はどう生きるのかを考え、自分の軸を持つことが大事でしょう。
お金はもちろん大事ですが、それだけでは人は生きられません。「誰かに必要とされている」という感覚こそが、老後を支える最後の土台なのかもしれません。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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