自分は“一人前じゃない”のか?
Aさんのいとこの一人は、長いあいだAさんと同じく独身でした。正月に顔を合わせるたび、「自分だけが特別じゃない」そんな安心感があったといいます。ところが、そのいとこも結婚。その年の正月、いとこが冗談めかして言いました。
「次はAくんの番だね」
すると、別の親戚が続けます。
「お母さんをあまり心配させちゃだめよ」
その直後、母が慌てるように口を挟みました。
「うちはね、下の息子がちゃんとしてるから。別にいいのよ」
フォローだったのだと思います。場の空気を和らげようとした、母なりの配慮だったのでしょう。
けれど、その言葉は、Aさんの胸に引っかかりました。
――自分も、“ちゃんとしている”つもりだけど。
仕事は真面目に続けている。家にお金を入れており、いざというときは親に渡す資産もある。親を買い物や病院に連れていくこともあるし、将来、介護が必要になれば自分が担うつもりでいる。それでも独身で実家暮らしというだけで、一人前とは見られないのか……。そう思うとどっと疲れてしまったのです。
それ以来、Aさんは1月2日には家を空けるようになりました。映画を観に行ったり、カフェで時間をつぶしたり。親戚が帰ったころになると母から「みんな帰ったよ」とLINE。それを合図に、そそくさと家に戻るのです。
実家暮らしは当たり前の選択肢だが……
実家暮らしは、いまや珍しい選択ではありません。物価上昇や賃金の伸び悩みを考えれば、合理的な判断でもあります。
実際、「LIFULL HOME'S「『実家暮らし』に関する調査(2025年)」によれば、実家暮らしの割合は20代では37.7%と一人暮らしを上回る結果に。30代・40代でも約3割を占めています。Aさんの場合も、実家暮らしが6,000万円という資産形成につながったのも事実です。
「このままいけば生涯1億円も見えると思います。でも、お正月が来るたびに憂鬱になるのも、ちょっとね。予定があるって言って外に出て、時間をつぶして。だからといって、この1日のために一人暮らしをするのもな……そう思いながら決断できないでいます」
実家にいることは間違いではない。けれど、“普通”という物差しで測られる場所に、居続けることのしんどさ。Aさんはその狭間で、いまも揺れています。
LIFULL HOME'S「『実家暮らし』に関する調査」(2025年5月22日)
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