ついに心療内科を受診
浅井さんはその後、食欲不振や強い倦怠感に悩まされるようになり、家族の勧めで心療内科を受診。いわゆる「老年期うつ」とされる抑うつ状態と診断され、治療と生活リズムの再構築に取り組むことになりました。
「働いているときは“やるべきこと”があった。会社に行けば話す相手もいた。でも、老後には“選ばなきゃ何も起きない”ことに、遅れて気づいたんです」
現在、浅井さんは地域の高齢者支援センターを通じて、シルバー人材センターの短期業務や、シニア向けのコミュニティサロンに週数回通っています。
「やっと“曜日感覚”が戻ってきました。週に1回でも予定があると、だいぶ違いますね」
一方で、資金面の見直しも進めており、月の支出を18万円台に抑えるよう心がけています。固定費削減や医療費控除の活用、国民健康保険料の減額申請など、制度を利用した工夫にも取り組み始めました。
「お金も時間もある。でも、それだけじゃだめだったんです。誰かと関わる予定があって、行く場所があって、話す相手がいる。“当たり前”だったことがなくなると、こんなにも自分を支えていたんだと気づきました」
老後の自由は、解放とともに「孤立」や「停滞」も生みやすいものです。自由を楽しむためには、あらかじめ自分なりの“生活の軸”や“つながり”を用意しておくことが、何よりも大切なのかもしれません。
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