(※写真はイメージです/PIXTA)

独居や認知症リスクのある高齢者を抱える家庭では、安全性や見守りの観点から、施設入居を検討するケースが特に増えています。厚生労働省『令和5年 社会福祉施設等調査の概況』によると、全国の有料老人ホーム(サ高住を除く)の客室稼働率は84.0%と高水準にあり、全国的に高齢者の施設利用が広まっていることがうかがえます。しかし、「安心できるはずの場所」でトラブルに直面することも少なくありません。

入居後に「合わない」と感じたら、見直すことも選択肢

高齢者施設は「入ったら終わり」ではなく、入居後に見直すことも選択肢の一つです。介護付き有料老人ホームでは、一時金(前払金)を支払って入居する契約形態もありますが、契約内容によっては、一定期間内の中途退去で返還金が発生するケースもあります。ただし、償却期間や返金条件は施設ごとに異なるため、入居前に契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。

 

また、地域包括支援センターやケアマネジャーは、入居後に不安や不満を感じた際の相談窓口にもなっており、別の施設への転居や、在宅介護との組み合わせなど、状況に応じた柔軟なプランの再検討が可能です。

 

「 “施設に入ること”だけでなく、“そこでどう暮らすか”。もう少し、生活の中身に目を向ければよかったと思います」

 

理恵さんは今、ようやく穏やかな笑顔を取り戻した母の姿に安堵しながらも、「これがゴールではなく、まだスタート地点」だと語ります。

 

高齢者施設の選択は、安心を得る手段であると同時に、「その人らしく生きられる環境」を探すプロセスでもあります。パンフレットに書かれていない“暮らしの質”こそが、最後まで大切にされるべきものなのかもしれません。

 

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