家に縛られて身動きが取れない…衝撃的な事実
孫の笑顔は宝物。成長する姿を間近で見ると、幸せな気持ちになります。しかし、日常生活のペースが崩れ、自分たちの時間まで奪われる覚悟はしていませんでした。
和子さんは正夫さんに、ぽつりと漏らしました。
「前は“もっと会いたい”って思っていたのに、今じゃ“お正月に会うくらいがちょうどいいかも”っていう気分。あの静かな毎日が懐かしい……」
失った平穏な日々。限界を感じた和子さん夫婦は、不動産会社に相談してみることに。しかし、そこで衝撃的な現実を知ることになったのです。
不動産会社の担当者によると、「二世帯住宅は特殊な間取りのため、売却する場合、相場よりも2~3割下がります」とのこと。また、土地は和子さんの夫名義ですが、建物は美咲さん夫婦の名義のため、そもそも簡単に売ることはできません。
間取りの問題に加えて権利関係が複雑で、動くことも逃げることもできない状況。和子さんは、まるで家に縛られているような感覚に陥りました。
家族が心地よく暮らすには「ルール」を曖昧にしないこと
二世帯同居は、うまくいけば心強い支えになります。しかし、和子さん夫婦と娘夫婦はルールを曖昧にしたまま一緒に暮らし始めたため、負担を感じるようになったといえます。
特に金銭的なルールは、曖昧にしておくと危険です。光熱費や食費などを数字で明確化し、きちんと分ける必要があります。また、孫の面倒も範囲を線引きし、「週何回」「何時から何時まで」など具体的なルールを決めておけば、身体的・精神的な負担は大きく違っていたでしょう。
話し合いの末、和子さん夫婦は、孫の世話の頻度を減らしてもらうことにしました。それでも家計が急に楽になるわけではなく、将来への不安が消えたわけでもありません。ただ、夫婦だけで散歩をしたり、それぞれの時間を持つようにしたりしたことで、少しずつ気持ちを立て直す余地が生まれました。
「お金のことも、ちゃんとしないと。食費については、いっそ冷蔵庫そのものを分けるという話も出ています。そこまでするべきか……悩みますが、仲良く暮らしていきたいからこそ線引きが必要なのかもしれません」
そう和子さんは静かに語ります。
孫や子どもと暮らす幸せは、確かに大きなもの。しかし、その幸せは、親世帯が自由を犠牲にしてまで成り立つものではないのです。程よい距離感、明確な役割分担、そして感謝の言葉。それこそが、家族全員が長く心地よく暮らすための鍵だといえるでしょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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