暮らし始めて芽生えた「小さな違和感」の積み重ね
ところが、暮らし始めてしばらくすると、小さな違和感が積み重なっていきました。
同居前、生活費や光熱費の負担については「だいたい折半でいいわよね」と曖昧なままスタートしていました。しかし実際に暮らしてみると、子育て世帯の生活コストは想像以上だったのです。
孫が家にいる時間は長く、夫婦2人だったら止めていた時間帯も、エアコンや空気清浄機はほぼ一日中稼働。早めにお風呂に入るため追い焚きは毎日。洗濯も、一日2回・3回と回すことが当たり前になりました。
食材も、和子さん夫婦と美咲さん家族ときっちり分けるのは難しく、二世帯分を負担することが増えました。気づけば光熱費は以前の1.5倍。食費は2倍近くになることもあり、年金暮らしの和子さん夫婦の負担感は増すばかりでした。
金銭面だけではありません。孫の保育園のお迎え、習い事の送り迎え、おやつや夕食の準備――。気が付けば、和子さん夫婦が当たり前に世話をするように。休日になると、孫2人を和子さんに任せて、娘夫婦が出掛けてしまうこともありました。
最初は前向きに孫の世話をしたいと思っていましたが、毎日続くと体力的にも精神的にも負担が大きくなりました。思い切って娘に伝えると、返ってきたのは軽い一言でした。
「だって同居してるんだし、これくらい普通じゃない?」
